Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

紀伊半島

クチサケハゼ

クチサケハゼ 三重県南部河川 -2.0m 先日、三重県南部の汽水域で撮影したクチサケハゼです。千葉県以南の河川汽水域の泥地を好むハゼで、撮影地も強く踏み込んだら嵌ってしまうような軟泥でした。なお、生息環境は泥なら何でも良いというわけではなく、たと…

稚アユの群れ

稚アユの群れ 銚子川 -4.0m 三重県銚子川で撮影した遡上してきたばかりの稚アユの群れです。大きさは3~4cmほどで、まだ身体が半透明な個体も混じります。先日、別の川に稚アユ狙いで撮影に行ったところ、ほとんど遡上がないような状況だったので、今年は遡…

古座川水系、アマゴの稚魚

アマゴ稚魚 古座川水系 -0.5m 撮影のネタが少ない冬の時期ですが、そろそろアマゴの稚魚の姿が見られる頃ではないかと思い、和歌山県南部を流れる古座川のとある支流を見てきました。昨年の3月末にも同じ場所を訪れており、およそ1か月早い現地入りです。上…

クボハゼ

クボハゼ 三重県南部河川 -1.0m 先週末は三重県南部の汽水域に今年初の水中撮影に行ってきました。といっても水の冷たいこの時期、魚は少なく川の中も閑散としていました。写真は初撮影のクボハゼ。ウキゴリ属ですが、ウキゴリやビリンゴと違いあまりホバリ…

ゴマウナギ

ニホンウナギ 伊勢湾流入河川 -1.0m 先日三重県中部の河川に潜っていると、身体全体にまだら模様をもつウナギと出会いました。地色が黄色いこともあって一見オオウナギのようにも見えますが。いわゆる「ゴマウナギ」と呼ばれるニホンウナギの色彩変異です。…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.24 クロダイ

クロダイ Acanthopagrus schlegelii 紀伊半島での呼び名;ちぬ(全域) 言わずと知れた釣りの人気者。和名の「クロダイ」はもともと東日本での本種の呼び名であり、西日本では「チヌ」の方が通りがいい。釣りではウキ釣りやフカセ釣り、ヘチ釣りなど様々な狙…

キリクチの谷

先日は紀伊半島の奥地でキリクチ(ヤマトイワナ)の撮影でした。キリクチは日本に4亜種生息するイワナの仲間(アメマス、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ)のうち、ヤマトイワナの紀伊半島に分布する地域個体群です。世界中のイワナの中でももっとも南に…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.23 ロウニンアジ

ロウニンアジ Caranx ignobilis 紀伊半島での呼び名:ひらあじ(串本ほか、混称)、かめあじ(志摩、混称) インド・太平洋の温帯から熱帯域に分布するヒラアジの仲間。アジ科魚類中で最大級の種のひとつであり全長1.5m、体重50kgに達する。英名をGiant trev…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.22 クロヨシノボリ

クロヨシノボリ Rhinogobius brunneus 紀伊半島での呼び名:ごり(ハゼ類の総称) 分布:千葉県以南の太平洋側、秋田県以南の日本海側、四国、九州の全域、および南西諸島。 生息環境:小河川の中上流域。流れの緩い淵に多い。 形態:体型は前後に細長い円筒…

紀伊半島の淡水魚図鑑No. 21 タカハヤ

タカハヤ Phoxinus oxycephalus jouyi 紀伊半島での呼び名:【文献】むつ、ぬめっと(中辺路)、ろくばい、ろくのうお(龍神) タカハヤの群れ 和歌山県日置川水系 -1.5m 分布:静岡県より西の太平洋側、富山県より西の日本海側の本州から四国、九州まで。西…

カワムツの産卵

最近ちょこちょこ通っている古座川水系。前回美しい婚姻色を見せてくれたオイカワの産卵でも見られないかと足を運んだところオイカワではなく、カワムツの産卵を見ることができました。 産卵場所は中流域の淵尻の流れの緩い砂礫底です。産卵はペアで行い、ま…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.20 オオキンブナ

オオキンブナ Carassius buergeri 紀伊半島での呼び名:ふな(混称、各地) オオキンブナ 和歌山県南部河川 -1.0m 日本淡水魚最後のパンドラボックス、混乱と難解の頂点を極めるのが本種を含んだフナ属魚類の分類である。日本には形態的に区別できる6種(ゲ…

オイカワの婚姻色

オイカワ 古座川水系 -1.5m 先週末は紀伊半島南部の古座川水系でオイカワの撮影でした。西日本の河川では普通種であり、どこでも普通に見られる綺麗で良い魚…という文脈で語られがちな本種ですが、実は和歌山県南部における分布は移入によるものではないかと…

コクチバス Micropterus dolomieu

コクチバス 紀の川 -1.5m 先日、紀の川水系で撮影したコクチバスです。コクチバスは90年代に長野県の野尻湖で発見されて以降分布が拡大しつつある外来魚で、同属のオオクチバスと同様ルアーフィッシングの好対象とされており、釣り愛好家からは英名の“Smallm…

アブラボテの婚姻色

先日は1年ぶりに和歌山北部のアブラボテの撮影に行ってきました。 今年のGWは何かと雨続きで、その影響もあり透明度は良いとは言えない状況でしたが、婚姻色のオスの姿もしっかりと写すことができました。 本種は大胆不敵というか不思議な魚で、潜って出会っ…

地球の海フォトコンで環境大臣賞をいただきました

このたび世界最大規模の水中写真の公募展「地球の海フォトコンテスト」に応募した作品が環境大臣賞/優秀賞に選ばれました。こうしたフォトコンに応募するのは今回が初めてで、いきなり何やらすごそうな賞をいただいてしまい、大変恐縮というか嬉しいという…

アマゴの幼魚

昨日は久しぶりに上流域で撮影でした。 上流域ということで魚の種類は少ないですが、昨年生まれと思われるアマゴの幼魚たちの姿が多く見られました。成魚は渓流魚らしく警戒心が強くなかなか近づきがたい魚ですが、この大きさの幼魚はむしろ採餌に夢中なよう…

論文が出版されました

拙著が魚類学のオンライン和文ジャーナルICHTHYで公開されました。オープンアクセスです。Twitterでも宣伝したのですが、こちらにも載せておきます。 和歌山県串本町から採集された北限記録のミナミフエダイ Lutjanus ehrenbergii https://www.museum.kagosh…

ミミズハゼの繁殖行動?

昨日は2週間ぶりの撮影でした。 某魚の狙いたいシーンがあったのですが、それは見ることすら叶わず・・・ 代わりと言っては何ですが、ミミズハゼの仲間の珍しい(?)行動を観察することができました。 ミミズハゼと言えば普段は転石の裏や砂利の中に潜んで…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.19 チチブモドキ

チチブモドキ Eleotris acanthopoma 紀伊半島での呼び名:【文献】ぼっかい、くえ(新宮)、ささぐり(太地)、かわあたがし(宇久井)かわぐえ(田辺)※いずれもカワアナゴ属の混称 チチブモドキ 和歌山県南部河川 -1.5m 全長20cmに達するとされるが、よく…

アユの稚魚

今年はやや遅れているという情報もあり、撮れるかどうか心配していましたが、無事に遡上したばかりのアユの稚魚の撮影ができました。 昨年は中途半端な絞りで撮ってしまってピンボケ写真を連発したので今回はかなり絞って撮影しています。氷魚(ひうお)と呼…

汽水の泥ハゼ

みなさま、あけましておめでとうございます(2月) 2021年もゆるゆるペースの更新となりそうですが、今年も当ブログ“Fishes of Kii Peninsula”をよろしくお願いします。 さて、フィールドの方ですが、生き物の活動も鈍く、ほとんどオフシーズン、かつドライ…

2020年のフィールドを振り返る(後編)

年末更新に間に合わず・・・

2020年のフィールドを振り返る(前編)

振り返るのは、大事。

まだまだ続くアユの産卵

先週の土日もアユの産卵の撮影に行ってきました。毎回同じように撮影しては面白みに欠けるので、今回はワイドレンズも使って撮影しています。 産卵場所へ移動する 三重県南部河川 -1.5m 産卵は大体夕方の5時過ぎぐらいから活発に行われるのですがそれまでは…

アユの産卵その2

先週末にアユの産卵を見に行った川に撮影の再チャレンジにいきました。前回の反省を活かして少し早めの時間(といっても午後3時過ぎですが)にエントリー、一週間経っていることから、産卵はもう終わってしまっているのではないかと心配していましたが、そん…

青の境界

先日、久々に三重県南部を流れる清流、銚子川に潜ったのですが相変わらずの素晴らしい透明度に改めて驚かされました。水の透明度が高く、青く美しい川は銚子川以外にも紀伊半島にはいくつかありますが、その何れとも異なる深い青は銚子川ならではのものだと…

アユの産卵

この週末はシーズンを迎えているであろうアユの産卵を見に紀伊半島内のあちこちの川を見て回りました。昨日は和歌山南部の川を見に行き完全に空振りだったのですが、今日は三重県側の河川で小規模ながら産卵群に遭遇することができました。 アユの産卵群 三…

アユの食み跡

先日潜った熊野川水系の上流域には大岩がごろごろしているのですが、どの岩にも表面の付着物がそぎ取られたような奇妙な跡がついているのに気が付きました。これはなんだろう?と思っていたのですが、すぐにアユの食み跡だと気がつきました。アユは珪藻や藍…

熊野川水系、晩秋の渓谷

今日は熊野川水系の上流域で撮影でした。普段、上流域はあまり行かないでのすが、先日岐阜で出逢ったサツキマスの姿が忘れられず、サツキマスまでいかずともアマゴの産卵シーンでも見られればと思い足を運んだ次第です。 写真のようなかなり険しい渓谷にエン…