Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

オイカワの婚姻色

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イカワ 古座川水系 -1.5m

先週末は紀伊半島南部の古座川水系でオイカワの撮影でした。西日本の河川では普通種であり、どこでも普通に見られる綺麗で良い魚…という文脈で語られがちな本種ですが、実は和歌山県南部における分布は移入によるものではないかと言われています。和歌山県北部の紀の川流域では古くから本種の佃煮寿司である“じゃこ寿司”を作っていることから少なくとも県北部は在来分布と思われますが、アユ種苗の放流に伴い移入したのか、県下の主要河川にはほぼすべて生息しており、本来の分布域がどこまでなのかは判然としません。なお、宇井縫蔵の『紀州魚譜』(1925年刊)には、「日高郡北の河川の清流に棲み」とあり、さらに近縁のカワムツの地方名が県下各地から収集されているのに対し、イカワの地方名は県北部からの収集に限ることからも、県南部の個体群は移入であることが示唆されます。


ということで、古座川のオイカワは移入の可能性が高いのですが、綺麗なのに変わりはないため、ついついカメラを向けてしまいます。この場所では繁殖期はシーズンインしたばかり?という感じでまだ婚姻色がはっきりと出ていないオスの姿もありました。じきに産卵も始まると思われるため、今年は産卵シーンやオス同士の闘争シーンの撮影も狙ってみようと思います。

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イカワ 古座川水系 -1.0m

camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
strobe:D-200, D-2000