Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

2022-01-01から1年間の記事一覧

2022年のフィールドを振り返る(下半期)

前回の続きです。どんどん振り返っていきましょう。 7月:南紀の汽水域 8月:四万十川のアカメ 9月:カネヒラ 10月:北海道遠征 11月:ビワマスの産卵 12月:冬の銚子川 7月:南紀の汽水域 遠征やら琵琶湖やらで、2か月ほど地元紀伊半島のフィールドがおざな…

2022のフィールドを振りかえる(上半期)

2022年も残すところあとわずか。今年は皆様にとってどのような年になりましたでしょうか?筆者は相変わらずフィールド三昧といったところで、淡水域での水中撮影を中心に北は北海道から南は沖縄までさまざまなフィールドに訪れました。 今回は年末恒例の振り…

潜り収め

今年最後の水中撮影は三重県南部の銚子川でした。水温も10℃あるかないかといった感じでもうすっかり冬の様相。ボラが淵に群れて泳いでいる以外は川の中は閑散としていました。 ボラの群れ 銚子川 -5.0m ビリンゴ 銚子川 -1.0m クチサケハゼ 銚子川 -2.0m 河…

銀ウナギ

ニホンウナギ 銚子川 -1.0m 昨年の10月に三重県南部の銚子川で撮影したニホンウナギの銀ウナギ(クダリウナギ)です。 ご存じのとおり、ウナギはその一生の終わりに海で産卵しますが、その準備として川にいる段階から身体にさまざまな変化が起きます。一見し…

紀伊半島の魚図鑑No32.  ホウライヒメジ

ホウライヒメジ Parupeneus ciliatus 紀伊半島での呼び名:めんどり、おじさん 分布:房総半島以南の太平洋岸、南西諸島および小笠原諸島。国外ではインド洋から西太平洋まで広域分布する。 生息環境:岩礁帯や内湾、藻場など。幼魚はタイドプールによく出現…

紀伊半島 アユの産卵群

アユの産卵群 和歌山県南部河川 -0.3m ビワマスのシーズンが終わりに近づくころ、紀伊半島ではアユの産卵が盛期を迎えます。昨年はスケジュールをうまく合わせきれずに観ることが出来なかったのですが、今年は以前から目星をつけていた紀伊半島南部の河川で…

ビワマス 産卵床の埋め戻し

ビワマスのペア 琵琶湖流入河川 -0.3m 前回の記事の写真と構図がほとんど一緒ですが、今度は産卵後に卵を埋め戻すメスの様子です。例によって周りがコンクリ張りで砂や礫がほとんどないので、あまり意味はないように思えるのですが、本能的に産卵床の周囲を…

ビワマス 産卵床作り

ビワマスのペア 琵琶湖流入河川 -0.3m 先日、産卵を撮影したペアの産卵床作りの様子です。ペアの、と言いつつ実際に産卵床を作るのはメスだけで、オスはその間ほかのオスを追い払ったり、メスにちょっかいかけて産卵を促したりしています。 産卵の記事のとき…

堰を越えるビワマス

ビワマスの跳躍 琵琶湖流入河川 琵琶湖の周辺は山地に囲まれているため急勾配の川が多く、自然豊かなイメージとは裏腹に治水のため、あちらこちらに堰が作られています。言うまでもなくこうした河川構造物はビワマスたちの遡上の妨げになるものですが、跳躍…

ビワマスの産卵

産卵の瞬間 琵琶湖流入河川 -0.3m 一昨年にはじめてビワマスを撮影して以来、いつかは産卵シーンを写真に収めたいと思い秋の琵琶湖に通って2年。先日ようやくその瞬間を撮影することができました。今年も雨が少なく、まとまった遡上がない中でこの瞬間に立ち…

なかなか難しいビワマス

ビワマスのペア 琵琶湖流入河川 -1.0m 楽しみにしていたビワマスの季節ですが、結局、今年の秋も雨が少ないためまとまった遡上がなく、撮影には苦戦しています。 狙っているのはもちろん産卵の瞬間なのですが、今年撮影するペアは、産卵に至るはるか前の産卵…

秋の日置川とアユの色彩

アユ 日置川 -1.5m この週末は大学の後輩であるSHOWくんと、以前からTwitterで仲良くさせてもらっている中野光さんと紀伊半島南部で合同採集調査でした。トップの写真は調査の合間に日置川で撮影したアユ。これまでに見てきたアユの中でもとびきりに鮮やかな…

ウツセミカジカ

ウツセミカジカ 琵琶湖流入河川 -0.5m ビワマスを探すついでに琵琶湖流入河川で撮影したウツセミカジカです。琵琶湖水系ではよくみかけるカジカの仲間で、湖内の深部から流入河川の中下流域まで広く生息します。 カジカの仲間といえば上流域でしか見られない…

2022ビワマスの遡上

ビワマスの群れ 琵琶湖流入河川 -3.0m 今年も待ちに待ったビワマスの季節がはじまりました。 例年、遡上ピークは10月下旬から11月の上旬にかけてなのですが、今年は先週あたりからすでにかなりの個体が遡上を開始しており、川の中では産卵を終えて力尽きた個…

モヨウフグ属の仲間たち

サザナミフグ、スジモヨウフグ カスミフグ、ワモンフグ 和歌山県南部河川 -2.0m 先日は実に2ヶ月ぶりに紀伊半島の川で撮影でした(Fishes of Kii Peninsulaとは…) 潜ったのは紀南地方の、汽水域の撮影でよく訪れる川。秋の汽水域らしく様々な魚をみかけまし…

カネヒラの貝覗き

カネヒラのペア 琵琶湖流入河川 -1.5m コアユの撮影と並行しながら、先月から引き続きカネヒラの撮影です。 ポイントは前回と全く同じ場所でしたが、今回はあいにく天気が悪く、照度不足と濁りのため3日間の撮影日程のうちまともに撮れたのは初日だけ…という…

コアユの産卵

コアユの産卵群 琵琶湖流入河川 -0.5m 琵琶湖ではほかの地域よりもやや早めの、9月上旬からアユ(コアユ)の産卵が始まります。ということで、産卵狙いで先月から撮影を計画していたのですが、予定がかみ合わず、結局産卵シーズンの終盤となるであろう10月の…

カラフトマス

カラフトマス 知床半島の川 -2.0m 知床半島の川で撮影したカラフトマスです。 カラフトマスはほぼすべての個体が、規則正しく生まれてから2年で成熟して川に回帰するという生活史をもっており*1、そのため、偶数年生まれ群と奇数年生まれ群の資源量に差があ…

オショロコマ

オショロコマ 知床の川 -1.5m 北海道シリーズ、続きます。 世界自然遺産、知床半島には半島部に特有の、渓流的環境が海のすぐ近くまで続くような急流河川が多く、そんな川で優占種になっているのがオショロコマです。本種も今回の遠征の大きなターゲットのひ…

北海道、サケの群れ

サケの群れ 知床の川 -1.0m 9/30~10/3の日程で北海道へ撮影遠征に行ってきました。 狙いはこの時期に遡上の盛期を迎えるサケやマスの仲間。サケの不漁がニュースに取り上げられたりと、近年、北海道でも遡上量の減少が目立つサケ・マス類ですが、それでも川…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.31 クロハギ

クロハギ Acanthurus xanthopterus 紀伊半島での呼び名:くろはぎ、くろはげ、おじろはぎ 分布:茨城県以南の太平洋岸、南西諸島、小笠原諸島。国外ではインド洋から中央太平洋まで広く分布する。 生息環境:成魚はサンゴ礁域や岩礁域。幼魚はタイドプールや…

琵琶湖のカネヒラ

カネヒラのペア、産卵母貝を探している最中? すっかり秋めいてきたこの頃。秋に婚姻色のピークを迎えるカネヒラの姿を写真に収めに琵琶湖周辺に行ってきました。 最初に入ろうとしていた昨年も撮影を行ったポイントは地形が変わっており、水草も刈られてし…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.30 サツキマス/アマゴ

サツキマス/アマゴ Oncorhynchus masou ishikawae 紀伊半島での呼び名:紀伊半島での呼び名:こさめ、あまご、あめご、あめのうお、のぼり(降海型) 分布:神奈川県酒匂川以西の本州太平洋側、四国、および九州東北部の瀬戸内海流入河川。 生息環境:河川上…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.29 クサフグ

クサフグ Takifugu alboplumbeus 紀伊半島での呼び名:くさふぐ、しおさいふぐ、なごやふぐ(小型のフグ類の混称) 分布:青森県から沖縄県までの全国。国外では朝鮮半島南部から東シナ海。 生息環境:沿岸浅所から河川汽水域。ときに純淡水域まで遡上するこ…

琵琶湖、ハスの夏

夏の琵琶湖を象徴する魚といえばハスの名前が挙がるのではないでしょうか。ハスは琵琶湖とそれに連なる淀川水系、および福井県の三方湖にのみ自然分布する、オイカワを獰猛にしたような姿かたちの魚で、コイ科魚類では珍しいフィッシュイーターです*1。琵琶…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.28 チュウガタスジシマドジョウ

チュウガタスジシマドジョウ Cobitis striata striata 紀伊半島での呼び名:かわどじょう、しまどじょう(シマドジョウ属の混称) 紀の川水系 -1.0m 6月 体側の黒色縦帯がよく目立つ美しいドジョウ。本種をはじめとしたスジシマドジョウの仲間は体側の縞模様…

トサシマドジョウ

トサシマドジョウ 高知県河川 -1.5m 高知県の河川で撮影したトサシマドジョウCobitis sp. BIWAE type Dです。本種はその名のとおり、高知県固有種のシマドジョウで主に県中部の河川中下流域に生息します。本種はシマドジョウ種群4種の中ではヒガシシマドジョ…

四万十川のアカメ

『日本最後の清流』のキャッチフレーズで知られる高知県四万十川、その四万十川を代表する魚といえばやはりアカメではないでしょうか?アカメは日本固有種のLatesの仲間で、その大きさ、姿かたち、希少性etc・・・と、この魚のもつ魅力はもはや語るまでもな…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.27 サザナミフグ

サザナミフグ Arothron hispidus 紀伊半島での呼び名:不明(ふぐ?フグ類の混称) サザナミフグ 和歌山県南部河川 -1.5m 黒から茶色の地色に白の細かい点線模様が入る美しいモヨウフグ属の一種。腹側の模様は縦線様で体背側から背面にかけては小白斑が散在…

チョウモドキの寄生

アマゴに多数寄生するチョウモドキ 日置川水系 -1.5m 先日、和歌山県南部の日置川の上流域で撮影していると多くのアマゴの体表に茶色っぽい異物が多数付着しているのを見つけました。これは何だろうか?と撮影した写真を拡大してよく見てみるとエラオ類の寄…