昨年生まれのビワマスの子供たちがそろそろ成長してきているころかな?と思い、昨年秋に親魚の撮影をした川を覗いてきました。
流心は雪解け水と最近の長雨でかなり流れが速かったのですが、岸際の流れのゆるやかな植生の周りで群れている体長3 cmほどの稚魚たちを発見。無事に孵化して成長できているようです。観察していると、群れながらも、すでにゆるやかな縄張り意識をもっているようで、体の大きな稚魚が餌の流れてきやすい一番いい場所を陣取り、ほかの稚魚を縄張りから追い出す様子も見られました。
これから暖かくなるにつれて、大きくなった稚魚から琵琶湖に降るものと思われます。多くのサケ科魚類では降海型の個体で体側のパーマークが消失し銀白色を帯びるスモルト化(銀毛化)が起こりますが、ほかのサケの仲間では河川内でスモルト化してから降海するのに対し、ビワマスではパーマークが明瞭に残った状態で降湖し、降湖後に急速にスモルト化するという違いあることが知られています。このようにビワマスのスモルト化の時期がほかの降海性のサケ科魚類と異なる要因はビワマスが河川と湖の間で回遊し、淡水内でその生活史を完結するという生態を獲得したことと深く関連していると考えられています(藤岡・伏木,1988)。
引用文献