Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

紀伊半島の淡水魚図鑑No.24 クロダイ

クロダイ Acanthopagrus schlegelii

紀伊半島での呼び名;ちぬ(全域)

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言わずと知れた釣りの人気者。和名の「クロダイ」はもともと東日本での本種の呼び名であり、西日本では「チヌ」の方が通りがいい。釣りではウキ釣りやフカセ釣り、ヘチ釣りなど様々な狙い方があり、使う餌もゴカイ、オキアミからムラサキイガイ、果てはスイカまでとバラエティ豊か。また最近はルアーフィッシングの対象としても人気が上昇している。沿岸浅所に生息し、内湾寄りに多いが外海に面した地域でもみられる。幼魚、成魚を問わず河川によく侵入し、純淡水域でみられることも少なくない。
やや動物性に偏った雑食性で食性の幅が広い。これは前述のように本種を様々な釣法で狙うことができる理由になっている。タイ科魚類に共通の特徴として発達した臼歯をもち、これで硬い殻をもった甲殻類や貝類をかみ砕いて食べることができる、
水産資源としては西日本で重要で、瀬戸内海では特に好まれ種苗放流も行われている。紀伊半島でも瀬戸内南部に面した和歌山市などでは鮮魚店の店頭に並ぶのをよく目にする。

やや神経質で水中で出会うとすぐに逃げてしまうため撮影するのは難しい。一方で夜間は寝ていることが多いため、ベタ寄りで撮影することができる。トップの写真も夜間に河川の淡水域で撮影したものである。