Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

キリクチの谷

先日は紀伊半島の奥地でキリクチ(ヤマトイワナ)の撮影でした。
キリクチは日本に4亜種生息するイワナの仲間(アメマス、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ)のうち、ヤマトイワナ紀伊半島に分布する地域個体群です。世界中のイワナの中でももっとも南に分布する”世界最南端のイワナ”として知られる貴重な個体群ですが、生息地の荒廃や亜種のニッコウイワナの放流による交雑により純系の個体群は絶滅の危機に瀕しており、確かな生息地は熊野川水系の源流の2地域に限られます。

今回訪れた生息地は紀伊半島中央部の山岳地帯の中にあり、撮影地までは1時間ほどの登山を要します。撮影・潜水機材の総重量は20㎏以上になり、想像以上に過酷な道のりでしたが、素晴らしい環境で多数の個体を見ることができました。

 

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生息地近くの深い森を流れる細流

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キリクチの群れ 熊野川水系 -1.5m

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小型の個体は体側と背部に白斑が目立つ

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ヤマトイワナらしく白斑が目立たず黄色みが強い個体

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今回の撮影地にはキリクチ以外の魚はいませんでした。警戒心の強いイワナの仲間ですので、近づくとすぐに物陰に隠れてしまいなかなか出てきません。ですが1匹だけやたら警戒心が薄い…というか人懐っこい個体がおり、撮り放題でかなり助けられました。ルートは把握できたので、次は産卵期である晩秋に訪れて繁殖行動を記録してみたいですね(登山はきついですが…)

 

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滝壷から谷を望む

camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO, M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO, M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000