Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

水中写真

古座川水系、アマゴの稚魚

アマゴ稚魚 古座川水系 -0.5m 撮影のネタが少ない冬の時期ですが、そろそろアマゴの稚魚の姿が見られる頃ではないかと思い、和歌山県南部を流れる古座川のとある支流を見てきました。昨年の3月末にも同じ場所を訪れており、およそ1か月早い現地入りです。上…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.25 オオヨシノボリ

オオヨシノボリ Rhinogobius fluviatilis 河川中流域から上流域の急流部に生息するヨシノボリの仲間。その名のとおり日本産のヨシノボリの中ではルリヨシノボリやヒラヨシノボリと並び大型に成長する種で、大きな個体では全長10cmを超える。本種に限らずヨシ…

クボハゼ

クボハゼ 三重県南部河川 -1.0m 先週末は三重県南部の汽水域に今年初の水中撮影に行ってきました。といっても水の冷たいこの時期、魚は少なく川の中も閑散としていました。写真は初撮影のクボハゼ。ウキゴリ属ですが、ウキゴリやビリンゴと違いあまりホバリ…

ハゼの日

ハヤセボウズハゼ 沖縄島北部河川 -1.5m 本日、12月23日はハゼの日です!!(非公式) なぜ今日がハゼの日かというとハゼ科魚類のご研究で著名な上皇さまの誕生日がこの日だから。今年も淡水・汽水中心に様々なハゼを撮影してきましたが、その中でも印象に残…

ヒスイボウズハゼ Stiphodon alcedo

オレンジタイプのオス 先月の20日から23日の日程で沖縄島に撮影遠征に行っていました。こんなぽっと出の遠征でこんなに成果が出て良いのだろうか…と思ってしまうぐらいに今回は運が良く。見たいと思っていた魚はすべて見ることができました。現地でサポート…

2021年ビワマスの遡上

先週あたりから遡上の情報が聞こえ始めたビワマス。居ても立っても居られず、今年こそは産卵シーンの撮影を!と意気込んでの琵琶湖入りです。しかし北部の2河川を巡ったのですがどうも昨年の同じ時期の撮影時よりも個体数がかなり少ない・・・ 産卵床を掘る…

タナゴ釣り、水中の世界

時系列が前後しますが、カネヒラ撮影の前週、岐阜在住の友人、R君のところにタナゴの撮影に行ってきました。おととしにタナゴ釣りで訪れた良いポイントがあったので、そこで待ち合わせしていたのですが・・・ 破壊された水辺。切ない。 Oh・・・ 高速道路関…

カネヒラの秋

秋といえばカネヒラの婚姻色ということで、琵琶湖へ撮影に行ってきました。筆者の住んでいる紀南からもっとも近い本種の安定した生息地は伊勢湾流入河川および濃尾平野なのですが、この地域のカネヒラは移入分布であることが示されているため(北村・内山,2…

ゴマウナギ

ニホンウナギ 伊勢湾流入河川 -1.0m 先日三重県中部の河川に潜っていると、身体全体にまだら模様をもつウナギと出会いました。地色が黄色いこともあって一見オオウナギのようにも見えますが。いわゆる「ゴマウナギ」と呼ばれるニホンウナギの色彩変異です。…

キリクチの谷

先日は紀伊半島の奥地でキリクチ(ヤマトイワナ)の撮影でした。キリクチは日本に4亜種生息するイワナの仲間(アメマス、ニッコウイワナ、ヤマトイワナ、ゴギ)のうち、ヤマトイワナの紀伊半島に分布する地域個体群です。世界中のイワナの中でももっとも南に…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.22 クロヨシノボリ

クロヨシノボリ Rhinogobius brunneus 紀伊半島での呼び名:ごり(ハゼ類の総称) 分布:千葉県以南の太平洋側、秋田県以南の日本海側、四国、九州の全域、および南西諸島。 生息環境:小河川の中上流域。流れの緩い淵に多い。 形態:体型は前後に細長い円筒…

紀伊半島の淡水魚図鑑No. 21 タカハヤ

タカハヤ Phoxinus oxycephalus jouyi 紀伊半島での呼び名:【文献】むつ、ぬめっと(中辺路)、ろくばい、ろくのうお(龍神) タカハヤの群れ 和歌山県日置川水系 -1.5m 分布:静岡県より西の太平洋側、富山県より西の日本海側の本州から四国、九州まで。西…

カワムツの産卵

最近ちょこちょこ通っている古座川水系。前回美しい婚姻色を見せてくれたオイカワの産卵でも見られないかと足を運んだところオイカワではなく、カワムツの産卵を見ることができました。 産卵場所は中流域の淵尻の流れの緩い砂礫底です。産卵はペアで行い、ま…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.20 オオキンブナ

オオキンブナ Carassius buergeri 紀伊半島での呼び名:ふな(混称、各地) オオキンブナ 和歌山県南部河川 -1.0m 日本淡水魚最後のパンドラボックス、混乱と難解の頂点を極めるのが本種を含んだフナ属魚類の分類である。日本には形態的に区別できる6種(ゲ…

ブルーギルの卵保護

ブルーギル 琵琶湖 -2.0m 琵琶湖で撮影したブルーギルです。本種は同じサンフィッシュ科のオオクチバスからおよそ一か月ほど遅れた7月に産卵のピークを迎えます。オオクチバスと同様、すり鉢状の巣を作りオスが卵を保護します。産卵床は複数で固まってコロニ…

オイカワの婚姻色

オイカワ 古座川水系 -1.5m 先週末は紀伊半島南部の古座川水系でオイカワの撮影でした。西日本の河川では普通種であり、どこでも普通に見られる綺麗で良い魚…という文脈で語られがちな本種ですが、実は和歌山県南部における分布は移入によるものではないかと…

コクチバス Micropterus dolomieu

コクチバス 紀の川 -1.5m 先日、紀の川水系で撮影したコクチバスです。コクチバスは90年代に長野県の野尻湖で発見されて以降分布が拡大しつつある外来魚で、同属のオオクチバスと同様ルアーフィッシングの好対象とされており、釣り愛好家からは英名の“Smallm…

アブラボテの婚姻色

先日は1年ぶりに和歌山北部のアブラボテの撮影に行ってきました。 今年のGWは何かと雨続きで、その影響もあり透明度は良いとは言えない状況でしたが、婚姻色のオスの姿もしっかりと写すことができました。 本種は大胆不敵というか不思議な魚で、潜って出会っ…

ウグイの産卵群

琵琶湖流入河川で撮影したウグイの産卵群です。 ウグイの群れ 琵琶湖流入河川 ー1.0m 琵琶湖では普段湖内に棲んでいるウグイたちがこの時期になると大挙して流入河川に遡上し産卵します。 先日の琵琶湖への遠征の大きな目的の一つがこのウグイの産卵を見るこ…

イサザ Gymnogobius isaza

この週末は少し足を伸ばして琵琶湖へ撮影に行きました。写真はナイトダイブで出会ったイサザ。本種は琵琶湖の環境に適応し独自の進化を遂げたウキゴリの仲間で、普段は琵琶湖の沖合にいますが、春の繁殖期には産卵のため接岸します。 イサザ 琵琶湖 -1.0m 紀…

地球の海フォトコンで環境大臣賞をいただきました

このたび世界最大規模の水中写真の公募展「地球の海フォトコンテスト」に応募した作品が環境大臣賞/優秀賞に選ばれました。こうしたフォトコンに応募するのは今回が初めてで、いきなり何やらすごそうな賞をいただいてしまい、大変恐縮というか嬉しいという…

アマゴの幼魚

昨日は久しぶりに上流域で撮影でした。 上流域ということで魚の種類は少ないですが、昨年生まれと思われるアマゴの幼魚たちの姿が多く見られました。成魚は渓流魚らしく警戒心が強くなかなか近づきがたい魚ですが、この大きさの幼魚はむしろ採餌に夢中なよう…

ミミズハゼの繁殖行動?

昨日は2週間ぶりの撮影でした。 某魚の狙いたいシーンがあったのですが、それは見ることすら叶わず・・・ 代わりと言っては何ですが、ミミズハゼの仲間の珍しい(?)行動を観察することができました。 ミミズハゼと言えば普段は転石の裏や砂利の中に潜んで…

アユの稚魚

今年はやや遅れているという情報もあり、撮れるかどうか心配していましたが、無事に遡上したばかりのアユの稚魚の撮影ができました。 昨年は中途半端な絞りで撮ってしまってピンボケ写真を連発したので今回はかなり絞って撮影しています。氷魚(ひうお)と呼…

汽水の泥ハゼ

みなさま、あけましておめでとうございます(2月) 2021年もゆるゆるペースの更新となりそうですが、今年も当ブログ“Fishes of Kii Peninsula”をよろしくお願いします。 さて、フィールドの方ですが、生き物の活動も鈍く、ほとんどオフシーズン、かつドライ…

2020年のフィールドを振り返る(後編)

年末更新に間に合わず・・・

2020年のフィールドを振り返る(前編)

振り返るのは、大事。

まだまだ続くアユの産卵

先週の土日もアユの産卵の撮影に行ってきました。毎回同じように撮影しては面白みに欠けるので、今回はワイドレンズも使って撮影しています。 産卵場所へ移動する 三重県南部河川 -1.5m 産卵は大体夕方の5時過ぎぐらいから活発に行われるのですがそれまでは…

アユの産卵その2

先週末にアユの産卵を見に行った川に撮影の再チャレンジにいきました。前回の反省を活かして少し早めの時間(といっても午後3時過ぎですが)にエントリー、一週間経っていることから、産卵はもう終わってしまっているのではないかと心配していましたが、そん…

青の境界

先日、久々に三重県南部を流れる清流、銚子川に潜ったのですが相変わらずの素晴らしい透明度に改めて驚かされました。水の透明度が高く、青く美しい川は銚子川以外にも紀伊半島にはいくつかありますが、その何れとも異なる深い青は銚子川ならではのものだと…