Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

2023-01-01から1年間の記事一覧

OM-1用ハウジング Ikelite 200DLM/B for OM-1レビュー③個人輸入編

前回の続きです。 nature-key-peninsula.hatenadiary.com 海外発送を行っていない海外のオンラインショップで商品を購入し、日本へ個人輸入する方法はいくつかありますが、メジャーなのが転送サービスなる業者を利用するものです。転送サービスとはざっくり…

OM-1用ハウジング Ikelite 200DLM/B for OM-1レビュー②ハウジング比較編

前回の続きです。 nature-key-peninsula.hatenadiary.com Ikelite社製OM-1のハウジングを紹介するにあたり、今回なぜ同社のハウジングの購入を決めたのかを書く必要がありそうです。OM-1のハウジングを造っているのはIkeliteのほかはNauticamとAOIというメー…

OM-1用ハウジング Ikelite 200DLM/B for OM-1 レビュー①イントロ

オリンパス改めOMシステムのフラッグシップ機OM-1、筆者も発売直後から購入して愛用しています。従来機のOM-Dシリーズと比較しても随所でパワーアップしており、操作性の向上やAF・AE追従50コマ/秒に達した連射速度、手持ちハイレゾショットに代表されるコ…

紀南のギギ

ギギ 紀伊半島南部河川 -0.5m 先日は久しぶりに地元、紀伊半島での水中撮影でした(Fishes of Kii Peninsulaとは一体…) 長らく撮影していなかった、とある魚を狙って紀伊半島南部の河川に入ったのですが、残念ながらその魚の姿はなく、代わりに見かけてびっ…

ニゴロブナ

ニゴロブナ 琵琶湖 -2.0m 琵琶湖には3種のフナが生息しますが、そのうちの一種がこのニゴロブナです。寿司の原型とされる郷土料理のふなずしの材料となることで有名な琵琶湖固有のフナで、体高の低いややスレンダーな体形と角ばった下あごが特徴…なのですが…

湧水水路のヤリタナゴ

ヤリタナゴ、オスの闘争 琵琶湖水系 -0.5m 琵琶湖の周辺には7種ものタナゴの仲間が生息しますが*1、生息環境の悪化や外来魚の食害によって、カネヒラ以外のすべての種で激減しており、特に本湖の沿岸域でその姿をみることは稀です。今回の主役であるヤリタナ…

オオクチバスの稚魚

オオクチバスの稚魚 琵琶湖 -2.0m 琵琶湖で撮影したオオクチバスの稚魚です。 本種のオスには孵化した仔稚魚をしばらくの間保護する習性があります。多くの魚類において仔稚魚期は最も多くの外敵に狙われ、減耗の激しい時期ですが、これを親が庇護することに…

不定期連載・標本写真シリーズ②コウライモロコ

コウライモロコ 76.5mm SL 和歌山県日高川水系産 コウライモロコ Squalidus chankaensis tsuchigae 分類:コイ科スゴモロコ属 分布:濃尾平野、和歌山県紀の川から広島県までの本州瀬戸内海側、四国の瀬戸内海側 備考:河川中下流域に広く分布。亜種で琵琶湖…

琵琶湖のワカサギ

ワカサギ 琵琶湖 -4.0m 氷上の穴釣りで有名なワカサギ。東日本の太平洋側や宍道湖以北の日本海側に自然分布する魚ですが、食べておいしく、水産資源としての需要が高いことから、古くから分布域外への移植が繰り返されてきました。琵琶湖へも1910年代と1940~…

アジメドジョウ

アジメドジョウ 滋賀県河川 -0.5m 滋賀県の河川で撮影したアジメドジョウです。 本種は美しい模様をもつ藻食性のドジョウで、近畿、中部および北陸地方の限られた水系にしか分布しない淡水魚です。河川中上流域の清澄な環境を好み、アマゴやイワナといった渓…

琵琶湖流入河川、アユの遡上

アユの群れ 琵琶湖流入河川 -0.5m 琵琶湖に注ぐ川で撮影したアユの群れです。琵琶湖では様々な魚が漁獲の対象となりますが、中でもアユは水産的に重要で、漁獲量の半分近くを占めます。琵琶湖のアユはほかの地域と同じように河川に遡上し、大型に成長するオ…

滋賀県のハリヨ

ハリヨのオス 滋賀湖東 -1.0m 西日本固有のトゲウオ科魚類、ハリヨは現在、岐阜県と滋賀県に自然分布しています(三重県にも分布していたが、1960年前後に絶滅)、このうち岐阜の個体群これまでに撮影していたのですが、滋賀県のものは未撮影でした。 今回の…

不定期連載・標本写真シリーズ①ツノダシ

ツノダシ 60.0mm SL 和歌山県産 ツノダシ Zanclus cornutus 分類:ツノダシ科ツノダシ属 分布:インド・太平洋の温帯から熱帯域 備考:熱帯域のサンゴ礁域で普通。国内では房総半島以南の岩礁域などでしばしばみられる。成魚の黄色と白に塗り分けられた体色…

オオガタスジシマドジョウ

オオガタスジシマドジョウ 琵琶湖流入水路 -1.0m もうFishes of Lake Biwaにブログタイトルを改名したほうがいいのでは?という感じですが、今回も琵琶湖の魚の記事です。 琵琶湖には2種のスジシマドジョウが分布しますが、そのうちの一種がこのオオガタスジ…

ウグイの跳躍

ウグイの跳躍 琵琶湖流入河川 琵琶湖に注ぐ川にも、多くの場合、途中いくつかの堰があり、ウグイなど産卵のために遡上する魚にとっては少なからぬ壁となっています。 幸い、ウグイに関しては跳躍力が高いため、そうした堰もジャンプして難なく遡っていきます…

琵琶湖、ウグイの産卵

ウグイの産卵 琵琶湖流入河川 -1.0m 琵琶湖の流入河川には毎年春になるとウグイが産卵のため群れをなして遡上します。 この3年ほど、産卵シーンの撮影目的で春の琵琶湖に通っていたものの、どうにもタイミングが合わせられずに撮れずに悔しい思いをしていた…

湖底からの使者、イサザ

イサザ 琵琶湖 -5.0m 今年もイサザが琵琶湖深部から接岸してきています。 本種は琵琶湖固有種のウキゴリの仲間で、普段は琵琶湖沖合の深層を回遊しているとされていますが、春に産卵のため足がつくような浅場にも出現するようになります。 ここ3年ほど毎年撮…

ホンモロコの産卵

ホンモロコの群れ 琵琶湖 -0.5m 琵琶湖で撮影したホンモロコの産卵です。 本種は琵琶湖固有のモロコの仲間で、普段は琵琶湖の中で回遊生活を送っていますが、毎年春になると琵琶湖沿岸や内湖、流入河川などに遡上して産卵します。長らくその様子を観察してみ…

ハリヨの求愛行動

ハリヨの雌雄 揖斐川水系 -0.5m この週末は東紀州の川に行こうかと思っていたのですが、週の中頃から継続した雨でどこの川も増水していたため、急遽、雨による濁りが出にくいであろう湧水地のハリヨの撮影に行くことにしました。ちょうど今の時期あたりから…

ノボリハゼ

ノボリハゼ 三重県南部河川 -2.0m 三重県南部の汽水域で撮影したノボリハゼです。以前近縁種のクチサケハゼを撮影したのと同じ場所で、いつもはクチサケが優先しているのですが、今回はなぜかノボリハゼばかり見かけました。両種が同一水系に分布する場合、…

春の広川でシロウオをいただく

先日、和歌山県中部を流れる広川の春の風物詩、シロウオ漁の体験に行ってきました シロウオは透明な身体が特徴的な体長4cm前後の小さなハゼ科魚類です。北海道南部から九州までの広い地域に分布し、普段は海に生息していますが、春になると産卵のため川を遡…

セトウチサンショウウオ

セトウチサンショウウオ 和歌山県北部 先日はTwitterのフォロワーさんの案内で1年ぶりにセトウチサンショウウオの観察に行きました。 セトウチサンショウウオは、これまでカスミサンショウウオとして知られていた種であり、Matsui et al (2019)により西日本…

稚アユの遡上はじまる

アユ 和歌山県南部河川 -0.5m 今年もアユが川に帰ってきました! 実は海での稚アユの撮影をしていた先週あたりからぽつぽつと川には入ってきているようでしたが、今週に入り本格的に加入がスタートしたようです。 撮影はお気に入りの和歌山県南部の河川の汽…

オオクチユゴイ

オオクチユゴイ 和歌山県南部河川 -2.0m 紀南地方の河川で撮影したオオクチユゴイです。 本種は本州沿岸では典型的な死滅回遊の淡水魚で、通常、河川に加入した当歳魚はその年の冬のうちに寒さに耐えられれず死んでしまうと考えられていますが、近年の地球温…

砕波帯の稚アユ

アユ 和歌山県南部 -1.0m 今年1発目の水中撮影は海からスタートです。 両側回遊魚であるアユは仔~稚魚期のうちは海洋生活を送りますが、海のどこにでもいるわけではなく、多くは砕波帯(サーフ・ゾーン)と呼ばれる水深の浅い、波が打ちつけるような砂浜域…

ヤマノカミ

先週になりますが、現在、開催中の特別展「うなぎの旅展」を見に北九州市立自然史・歴史博物館いのちのたび博物館を訪れました。 unaginotabi.jp 今回の特別展の企画担当である日比野友亮学芸員は筆者の大学時代の先輩にあたり、展示に使用する写真を数点提…

カタアシクラゲ?のポリプ

カタアシクラゲ?のポリプ 銚子川 -2.0m 今年初記事です。今年も変わらずのゆるペース更新になると思いますが、弊ブログFishes of Kii Peninsulaをよろしくお願いします。 写真は昨年の末に銚子川の汽水域で撮影した、カタアシクラゲの一種と思われるヒドロ…