Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

滋賀県のハリヨ

ハリヨのオス 滋賀湖東 -1.0m

西日本固有のトゲウオ科魚類、ハリヨは現在、岐阜県滋賀県に自然分布しています(三重県にも分布していたが、1960年前後に絶滅)、このうち岐阜の個体群これまでに撮影していたのですが、滋賀県のものは未撮影でした。

今回の撮影周辺には2度ハリヨ狙いで訪れていたのですが探し出せずにおり、3度目のチャレンジでようやくその姿をとらえることができました。トゲウオの仲間といえば水の澄んだ湧水地に生息するイメージで、実際にこの場所も湧水が多いのですが、一方で底にアオミドロが腐植したような軟泥が堆積しており、少しでも身体やカメラを動かすとこれが舞い上がって視界が悪くなり、撮影は存外に困難でした。

ちょうど繁殖の季節で婚姻色の美しいオスの姿もみられました。写真の個体はすでに巣をもっており、しきりに産み付けられた卵に胸鰭で新鮮な水を送る行動(ファンニング)をしていました。ハリヨ自体あまり警戒心の強い魚ではありませんが、巣を守るオスはさらに逃げにくくなっており、時折カメラのレンズ面ぎりぎりまで近づいてのぞき込むような行動をしてきました。

滋賀県では梅花藻で有名な米原市の醒ヶ井にもハリヨは生息していますが、醒ヶ井の個体群は、本来北日本に分布するイトヨからの遺伝子汚染を受けていることが明らかとなっており、純系のハリヨは絶滅したとされています。幸い今回の撮影地にはイトヨは侵入しておらず純粋な個体群が維持されています。

メス個体 滋賀湖東 -1.0m

群れる稚魚たち 滋賀湖東 -1.0m

camera : OM-1
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, Z-240