滋賀県の河川で撮影したアジメドジョウです。
本種は美しい模様をもつ藻食性のドジョウで、近畿、中部および北陸地方の限られた水系にしか分布しない淡水魚です。河川中上流域の清澄な環境を好み、アマゴやイワナといった渓流魚と混棲することもあります。以前、三重県の宮川水系で撮影したことがあるのですが、滋賀県の川で撮影するのは初めてでした。
警戒心が強く、カメラを向けるとさっと逃げてしまうため、撮影は難しい魚の一つです。ただし、シマドジョウの仲間のように驚いて砂の中に潜ってしまうようなことはなく、摂餌中の個体は警戒心もやや薄れるため、そうした個体を狙って近づいています。
今回の撮影地では個体数も多く、集団になって岩の表面に生えるコケを食んでいる様子もみられました。かなり流れの強い早瀬でも巧みに泳いで摂餌しており、その姿は一般に想像される、田んぼなどの泥っぽい場所の魚というドジョウのイメージとは一線を画します。急流に生息し、藻類を食べるドジョウの仲間といえばアジアの熱帯域に広く分布するタニノボリ類(ヒルストリームローチ)が思い起こされますが、タニノボリ類の分布しない日本ではそのニッチを埋める形でアジメドジョウが進化したのかなぁなどと、激流を泳ぐ彼らの姿を見ているとそんなことを考えてしまいます。
camera : OM-1
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, Z-240