Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

岐阜のハリヨ

揖斐川水系 -0.5m 6月

先週末は紀伊半島から離れて岐阜で撮影でした。狙いは岐阜県滋賀県にしか生息しないトゲウオ科魚類のハリヨ。トゲウオの仲間は典型的な冷水魚で、高水温に対する耐性がないため温帯に生息する種では年間を通して水温が低く安定している、湧水の豊富な環境にのみに生息します。こうした湧水環境は開発による悪影響を受けやすく、もともと分布が局所的なこともあってトゲウオ科魚類の多くは各地で大きく数を減らしており、絶滅が心配されています。今回撮影したハリヨもその例外ではなく環境省レッドリストで絶滅危惧IA類に指定され、現在生息している岐阜、滋賀の両県ともに条例により無許可での採集等は禁止されています。
今回の撮影地は揖斐川水系につながるとある湧水地でした。この場所では地域住民の方々が主体になった保全活動が行われており、その努力もあって環境は素晴らしくハリヨの個体数も多かったです。本種の繁殖のピークは3~5月とされており、婚姻色の季節は終わっていましたが、その代わり今年生まれと思われる稚魚の姿も数多くみられました。行動自体はゆっくりとしており、特に小さな個体では警戒心も薄いため撮りやすかったです。今年は時期を逃してしまいましたが、来年も足を運んで美しいオスの婚姻色や巣作りなどの一連の繁殖行動を記録してみたいと思います。

正面顔。かわいい。

 

camera : E-M1 markⅡ
lens :  M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000