Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

キリクチ再び

このところ九州ネタばかりで”Fishes of Kii Peninsula”というタイトルから遠ざかっている当ブログですが、ちゃんと(?)地元のフィールドにも通っています。

先週訪れたのは紀伊半島奥地のキリクチ(ヤマトイワナ紀伊半島集団)の生息地、前回撮影したのが昨年の9月なので、およそ8ヶ月ぶりの再訪になりました。

 

キリクチ 熊野川水系 -1.0m

相変わらずの潜水機材20kgを背負っての約1時間の登山でキリクチのいる谷をめざします。前日に降った雨の影響か時期的なものなのかはわかりませんが、思った以上に水が多く、前回瀬切れしていた区間にも水が流れていました。おかげで何回か渡河するはめになり、登山靴がぐちょぐちょに… 次回からは沢登り用の靴で挑んだほうが良いかもしれません。

キリクチ 熊野川水系 水面下

キリクチのいる区間に入ると上から見てもちらほらと姿が見られるようになりました。増水により流れ自体はかなり下の方まで延長しているのに、生息区間は前回とほぼ一緒というのが興味深かったです。やがて瀬切れするとわかっているのか、やはり自分の住んでいる場所からあまり離れたがらないのかもしれません。

キリクチ 熊野川水系 -1.0m

キリクチ 熊野川水系 -0.5m

キリクチ 熊野川水系 -0.5m

さっそく潜ってみるとそこかしこにキリクチの姿がありました。ちなみにこの場所に出現する魚はすべてキリクチです。なんて贅沢。ヤマトイワナらしいオレンジスポットが綺麗な美しい個体ばかりでした。なお、小さな個体には白斑が入るものもいてヤマトイワナだからといって全く白斑を欠くわけではないことがわかります。

ちなみに今回の密かな目標として今年生まれの幼魚を探していたのですが、残念ながらその姿はありませんでした。この場所では繁殖していないのか、はたまた餌の少ない環境ですからほかの成魚から襲われて消えてしまったかは不明ですが、ともかく秋の産卵シーンを狙うとなるとさらに上流を目指さないといけない可能性が出てきました。上の区間は危険個所が増えるので出来れば入りたくはないのですが…

何はともあれ、今年も無事キリクチたちの姿を写真に収められてよかったです。この場所も生息域としてはかなり小規模なので、いつ何どき洪水などで荒廃し絶滅してしまうかわかりません。なので可能な限り継続的に記録していくことが大事です。なお、現在キリクチは熊野川水系の2地域に生き残っているとされており、もう一方の地域はまだ撮影できていないので、また近いうちに調査に行きたいですね。

滝壷の底から見上げる 谷が深く太陽光が射す時間は一瞬。-4.0m

 

camera : E-M1 markⅡ, OM-1(水上)
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO, M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO, 
strobe:D-200, D-2000