Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

湧水水路のヤリタナゴ

ヤリタナゴ、オスの闘争 琵琶湖水系 -0.5m

琵琶湖の周辺には7種ものタナゴの仲間が生息しますが*1、生息環境の悪化や外来魚の食害によって、カネヒラ以外のすべての種で激減しており、特に本湖の沿岸域でその姿をみることは稀です。今回の主役であるヤリタナゴもかつては琵琶湖の全域でみられ、沿岸域の優占種となっていたようですが、現在の琵琶湖にはその面影はほぼなく、湖に流入するいくつかの河川や水路の限られた範囲に生息するにとどまります。

したがって、淡水魚の宝庫と思われているような琵琶湖周辺であってもタナゴ類を見つけるのは難しく、まして水中撮影ができるような透明度の高いポイントとなると相当限られてくるのが実情です。これまで筆者も琵琶湖でタナゴといえばカネヒラぐらいしか撮影したことがなかったのですが、今回はSNSのフォロワーさんから湧水が豊富で透明度の高い水中撮影向きの水路を案内していただきました。

案内された場所を上から覗いてみるとものすごく魚影が濃い!タナゴの産卵母貝となる二枚貝が川底にたくさんあるのも確認でき、一目見ただけで素晴らしい環境が残されているのがわかります。早速潜ってみるとそこは小魚たちの楽園でした。観察できた魚はヤリタナゴ、アブラボテ、アユ、ヌマムツ、カワムツ、オイカワ、アブラハヤ、ニシシマドジョウ、オウミヨシノボリ(トウヨシノボリ)など。ヤリタナゴは婚姻色がよく出ており、オス同士で闘争を繰り返していました。

案内していただいた方曰く、これでもまだ婚姻色の最高潮ではなく、ピークは1、2週間後ほどではないかとのこと。春に産卵期を迎えるタナゴとしては結構遅いですが、これは冷たい湧水の存在が関係しているかもしれません。

 

暗がりでは婚姻色は一層輝く

 

camera : OM-1
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-2000, Z-240

*1:ヤリタナゴ、アブラボテ、イチモンジタナゴ、イタセンパラ、シロヒレタビラ、カネヒラ、バラタナゴ。なお、イタセンパラと亜種ニッポンバラタナゴは絶滅