Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

OM-1用ハウジング Ikelite 200DLM/B for OM-1レビュー②ハウジング比較編

前回の続きです。

nature-key-peninsula.hatenadiary.com

 

Ikelite社製OM-1のハウジングを紹介するにあたり、今回なぜ同社のハウジングの購入を決めたのかを書く必要がありそうです。OM-1のハウジングを造っているのはIkeliteのほかはNauticamとAOIというメーカーなのですが、ここで競合機種となるこの2つのメーカーのハウジングの酷さ特徴を書き連ねてみたいと思います。

 

www.nauticam.com

このうちNauticamは有名メーカーです。堅牢なアルミ合金のボディと高い操作性、様々な撮影に対応する豊富なアクセサリーがセールスポイント。世界中でプロのダイバーや水中写真家が使っている実績もあり、性能だけで言ったら文句なしに超一流なのですが、問題はお値段も超一流なこと…

OM-1に対応するNA OM1は本体だけで税込415,800円します。そして当然本体だけでは使うことができず、水中で様々なレンズを使って撮影するにはそのレンズにあったレンズポートを装着する必要があり、さらにズームレンズを使うならハウジングの外からズーム操作ができるズームギアが必要です。筆者が主に使う3つのレンズ(60mm F2.8マクロ、12-45mm F4.0、8mmF1.8 Fisheye)のポートにギア、そして外付けのファインダーを追加すると、お値段びっくり総額1,030,590円・・・

誰が買えんねん!!富豪?なお、値段のことを抜きにすれば今回の3メーカーの中では最もハウジングの性能は良く、なおかつ日本に代理店もあるので、富豪の方は素直にNauticamのハウジングを購入するのをおすすめします。

 

aoi-hk.com

次にAOIのハウジングですが、このAOIというメーカー、実はもともとオリンパスの純正ハウジングのOEMを手掛けていたメーカーです。オリンパスのカメラ事業がOMデジタルに移譲され、不採算の水中撮影部門が切り捨てられた純正ハウジングが用意されなくなったことに伴い、今度は自社ブランドでハウジングを出すことになった様子。筆者もこれまでE-M1mark2のオリンパス純正ハウジングを使っていて、何だかんだ気に入っていただけに、OEM元であるAOIのハウジングには期待していました。しかし、実際に発売されたOM-1のハウジングであるUH-OM1はE-M1mark2のハウジングから防水性能がダウン(60m防水から45m防水へ)、ピックアップファインダーの廃止、レンズポートがOM-DマウントからPENマウントへの変更と、仕様が大きく変わっており、完全に期待外れになってしまうことに…

特に最後のポートマウントの変更は痛く、これまでE-M1に使っていたポートは使えないことになってしまいました。OM-Dの後継機なのにOM-Dマウントじゃないって何やねん。何故そこで逆張りした?しかもこのPENマウント用のポートが意味不明に高価で、魚眼用のドームポートで16万円弱、マクロ用ポートで6万円というなかなか強気の値段設定(ちなみにE-M1mark2で使用していたドームポートは6万、マクロポートは4万程度)。本体もスペックダウンした割に217,800円と妙に高く、フルセットで揃えると総額43万以上とNauticamほどではありませんが、こちらもなかなかのお値段。スペックも微妙、ポートも使い回せない上に、値段も上がったとなれば積極的に選ぶ理由はありません(一応、浸水検知センサーが搭載されるなど、改良点も見受けられるのですが…)。

そこで気になる…というか唯一のまともな選択肢と思えるのがIkeliteのハウジングでした。同社はアメリカで1962年に創業した老舗の水中撮影機材メーカーで、ポリカーボネート製の比較的安価なハウジングを手掛けています。OM-1に対応する200DLM/B Underwater Housing for OM System OM-1は$950USDと、為替レートにもよりますがざっくり10万円台前半。レンズポートや外付けファインダーなどのアクセサリー類も豊富でこれらも値段的にそこまで高くありません*1

ならばIkelite一択では?という感じですが、問題は前の記事でも書いたとおり同社の代理店は国内になく、購入するにはアメリカから個人輸入の手続きを踏まなくてはならないこと、現在、空前絶後の円安で割高になってしまうことがありました。特に代理店がないということは万一のトラブルの際のサポートがすぐに受けられないことを意味します。

また、低価格帯の製品ゆえか、ハウジング自体にも若干妥協しているような点があり、すべてのカメラのボタンの操作に対応しているわけではないこと、水中撮影に必須なストロボとの接続は電気接続のみで、これまで使用してきた光ケーブルが使えないこと、純正で用意されているレンズポートが軽量ですが傷に弱いアクリル製のものしかないことも購入をためらわせる材料でした。とはいえ万年金欠。使える予算も限られる中で、現実的にはIkeliteのハウジングを第一候補とするしかありません。もう少し円高になるのを待ってもよかったのですが、現在の円安がいつまで続くのか全く読めませんし、現在アメリカはインフレの真っ最中でうかうかしていたら本体価格が上がりそうなこともあって、“悩んでいる時間は負債!”と自らに言い聞かせ若干割高でしたが、1$=130円くらいの時*2に購入してみました。

次回はこちら

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*1:とはいえ、よくよく考えたらポリカーボネートの箱に10万払うとか狂ってる・・・

*2:この記事を書いている2023年6月現在、円安はさらに進み1$=140円ほどの水準なので、結果的にこの時(3月)に購入してよかったです。相場師の才能があるかも・・・()