Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

OM-1用ハウジング Ikelite 200DLM/B for OM-1レビュー⑥ OM-1の水中での実力は?

前回の続きです。

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ここまで主にハウジングのことについて書いてきましたが、今回はOM-1を水中で使ってみて見えてきた水中撮影機としてのOM-1の実力についてレビューしていきます。なお、本記事に掲載している写真はもちろんすべてOM-1で撮影したものです。

被写体認識AFは使えるのか?

個人的にもっとも気になっていた被写体認識AFの“鳥モード”で水中の魚が追えるのかというところですが、結論から言うとかなり使えます!さすがに濁った水の中や動きの速すぎる被写体は難しいですが、ハゼなどのあまり動かない被写体や等速で泳ぎ続ける魚にはかなり追従してAFを合わせ続けてくれます。

Ikeliteのハウジングの場合、AF枠の移動に使うマルチセレクターが操作できないのですが、被写体認識でAF枠が勝手に魚の眼に行くのであまり使う必要性が感じられなくなりました。E-M1時代は十字キーでしばしばAF枠を移動させていたので、撮影のスタイル自体がかなり変わったと言えそうです。素のAF性能自体もE-M1mark2とは雲泥の差で、前後に動く被写体もよく追従してくれ、ピンボケ写真がかなり減ったように感じます。

暗所でのAF性能がすごい

E-M1mark2の弱点の一つとして暗い場所や夜間におけるAFが迷いがちということがありました。特に夜間のマクロ撮影は大の苦手で、ピント位置が前後に行ったり来たりしてなかなか合焦しないAFにはイラつかされたものです笑

ところがOM-1では写真のワカサギの稚魚のような半透明で小さな被写体にも迷わずAFが合うので大変驚きました。この際にも被写体認識がうまく機能して追い続けてくれるようです。ナマズの仲間など夜間の撮影が主になる種は、これまでAF性能の低さによってシャッターチャンスを逃すことがままありましたが、OM-1ではそうしたことも少なくなりそうです。

追尾AFは使えない

これはいろんなところで指摘されていますが、追尾AFはまるで使い物になりません。追尾AFが優秀らしいSONYあたりから乗り換えると面食らうのではないでしょうか?陸上でもまぁまぁ使えないOM-1の追尾AFですが、水中では輪をかけて無能で、特に素早く動く被写体を追おうとするとすぐにAF枠が迷子になってしまいます笑 おそらく、被写体の追尾にはコントラストなどの情報を使っており、前後に移動すると水の透明度の関係でコントラストが激しく変化する水中では被写体の検出が困難になっているのではないでしょうか?幸い、被写体認識のほうが優秀なので、そちらのほうをメインで使っていくとよいでしょう。

連写が使える

これはOM-1だから、というわけではないのですが、外部ストロボを電気接続しているとチャージタイムが外部ストロボ依存となるため、フル発光やそれに近い光量でない限り連写が使えます。OM-1はその速写性もウリの一つなのですが、10コマ毎秒のメカシャッターの連写を水中でも使えるというのは嬉しい限り。産卵シーンの撮影など、一瞬の場面での写真の歩留まりが上がりそう。ただ、どうしてもストロボの強さによっては2コマ目以降の光量が落ちるので、どんな設定でもむやみに連写ができるというわけではありません。また、電子シャッターはストロボ撮影に対応していないので、OM-1の最高連写速度である50コマ毎秒の連写をストロボと併用して水中で使うことはできません。

ストロボ同調が1/500秒まで使える?(要検証)

F4.0 ss1/500 iso200

 

これもOM-1だからというわけではないのですが、ストロボを電気接続するとシャッタースピード1/500秒くらいまでシンクロして使えるみたいです。ハイスピードシンクロとまではいかないですが、かなり高速でストロボ撮影ができるのは電気接続の大きなメリットかなと思います。ちなみにそれ以上(1/640秒)のシャッタースピードでもシャッターは切れるのですが、シンクロが間に合わず、写真の下半分くらいがストロボの当たっていない写真になります。

これまでのカメラの付属のストロボを光ケーブルでシンクロさせる方式では1/250秒までしかシンクロせず、薄暗い場所から明るい場所に移動してそのまま撮影すると白飛び写真が連発していましたが、1段分余裕があるので、こうしたことも多少抑えられそうです。あと動きの速い被写体にも少し強くなるかも…

ストロボを使うので基本的には被写体ブレをあまり気にしなくてもよい水中写真の世界ですが、自然光とストロボ光を織り交ぜるような撮影などで威力を発揮するかもしれません。なお、ストロボの同調についてはストロボ側の条件も大きく、筆者はINONのストロボを使っていますが、ほかのメーカーのストロボだとまた違う結果が得られるかもしれません。このあたりは要検証です。

画質は良くも悪くも今までどおり

OM-1になってjpegの画質は良くなった!という声も耳にしましたが、RAWから現像するとこれまでのE-M1などのマイクロフォーサーズ機とそこまで変わらないようです。筆者も撮った写真を見比べてみたりしましたが、特に高感度に強くなっただとかは感じません。

ただ、これまでも別に画質が悪くて困っていたとかではないので、少なくとも筆者の使い方では必要十分といったところ。水中写真ではiso1600以上の高感度なんてまず使いませんし。フルサイズ機を使ったことがないので、そっちを使ってみたら不満も出てくるのかもしれませんが・・・

総評

とにかくAF周りの進化がものすごいです。他メーカーもそうですが、AIを応用した被写体認識は今後もトレンドになっていくのだろうな~と思います。速写性も上がりこれまで以上にシャッターチャンスに強くなった印象です。ここまでカメラの性能が高いと機材で言い訳ができませんね・・・

画質にも不満はなく、今後10年くらいはこれで戦えそうですが、きっと後継機が出たらまた欲しくなるのでしょうね笑 せっかくハウジングを個人輸入して水中で使えるようにしたOM-1、宝の持ち腐れにならないよう、川でも海でもガンガン使い倒していきたいと思います。