Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

OM-1用ハウジング Ikelite 200DLM/B for OM-1レビュー④ 開封編(?)

前回の続きです。

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今回からOMSYSTEMのOM-1の水中ハウジング、Ikelite 200DLM/B for OM-1の実際の使用感をレビューしていきたいと思います。

ちなみに、こうしたレビュー記事は開封の儀から始まるのがよくあるパターンですが、早く中身を確認したさすぎて撮影している暇がなかった上に、箱は捨ててしまったので、いきなり外観のレビュー(しかも何回か使った後なので割と傷が入っている)からとなっていますが、ご容赦ください・・・

外観・ボディ

カメラのボディに合わせて、ペンタ部やグリップ部をもつ形状の水中ハウジングが多い中で珍しい、ほとんど直方体の形状が特徴。実はIkeliteのレンズ交換型カメラ対応のハウジングには比較的小型のカメラ(マイクロフォーサーズソニーαのAPS-Cなど)に対応するDLMシリーズと大型カメラ(キヤノンEOS R、ニコンZ、ソニーα7シリーズなど)対応のDLシリーズがありますが*1、それぞれのシリーズのハウジングは対応するカメラが異なっていてもボディの形状自体は同じ(ボタンやダイヤルの位置だけ違う)なのです。これはカメラ毎に異なるハウジングボディの設計・製造をする必要がないことを意味し、ハウジングの低価格化に貢献していますが、一方で特定のカメラに最適化された形状ではないため、ハウジング内に無駄なスペースが生まれやすいということでもあります。実際にこのOM-1のハウジングでもグリップ回りなどに無駄なスペースがあります。しかし、それを差し引いてもハウジング自体はかなりコンパクトにまとまっており、E-M1mark2の純正ハウジングと比較しても一回りほど小さく感じ、またかなり軽量です。

 

ハウジング前面の左下にはIkeliteのコーポレートマークであるタコのシンボルが。ボディが白いこともあいまって全体にポップな印象です。タコマークの上には申し訳程度の黒いグリップ部がありますが、握りやすさには影響がなく、ほぼ外見上のアクセントになっているだけです。???「あんなの飾りです!」

 

背面は透明で中のカメラの状態を確認しやすいです。万が一水没などしてもすぐに気が付くのではないでしょうか?また、背面液晶の周りにフードなどは一切無く、直射日光の下など明るい場所だと画面を確認しづらいです。対策としては液晶の明るさを+7にすることで対応しています。ちなみに傷が入ると嫌なので液晶部分にはスマホ用の保護フイルムを貼っています。割と雑なのでそのうち貼りなおすかも。

 

ハウジングの密閉機構は側面に備えられた2つのバックルで留めるもの。しっかりした金属製のバックルでロックを外した上でかなり力を入れないと外れないので、水中で開くようなトラブルはなさそう。筆者は今のところ淡水での使用がほとんどなので、あまり気にしていないですが、海でのダイビングなど海水で使用した後はサビが出ないようすぐに淡水で洗ったほうが良いでしょう。

 

防水の要であるOリングはシリコン製の一般的なタイプ。ハウジングの背面側とレンズポート側にそれぞれ装着します。

またハウジングの上面には多くのハウジングに備わっているアクセサリーポートがありません。これまで筆者は使ってこなかったため、特に気にしていないですが、使っている人にとってはマイナスポイントかもしれません。

 

ボタン・ダイヤル

ボタンはすべて同じ形で、押した感触は割と固め。十字キー周りはボタンが密集しておりはっきり言って押しにくいです。また多くのボタンに何の機能に対応しているかが印字されておらず、最初は戸惑うかもしれません。多くのカメラの操作に対応していますが、マルチセレクター、Fnレバー、AELボタン、マウント部の横の2つのFnボタン、ファインダーの視度調整ダイヤルおよびフロントダイヤルには対応していません。マルチセレクターの機能(AF枠の操作)は十字キーで代用できるのでまぁ良いとして、フロントダイヤルに対応していないのはかなり痛い・・・ Mモードの場合、フロントダイヤルをいじれないとF値の変更ができず、困ったことになりますが、OM-1の場合、スーパーコンパネで一通りの撮影設定は調整できるので、OKボタンでスーパーコンパネ呼び出し→設定一覧から絞りを選択→リアダイヤルで絞りを調整、の手順でF値を変更しています。F値を変えるのに最低でも2ステップかかるので、撮影中にF値を変えたいとなったときに素早く操作するのが難しいです。

 

シャッターボタンとAF-ONボタンはトリガータイプ。このタイプのシャッターは初めてでしたが、非常にレリーズしやすく高評価。AF-ONボタンのほうもいわゆる“親指AF”に最適化されたスタイルで操作性が良いです。E-M1mark2の純正ハウジングは親指AFに対応するAEL/AFLボタンが押しづらく手が疲れやすかった…

 

ファインダー

ファインダーはピックアップファインダーが標準装備。マスク越しに覗くとやはり四隅はケラレますが、E-M1mark2の純正ハウジングのものよりは見やすいかな・・・ただケラレることに変わりはないので、普段は背面液晶で撮影することになりそうです。

なお、純正の外付けファインダーが販売されており、こちらに換装することも可能。45度タイプは底近くにいる被写体を撮るときなどに使い勝手がよさそうなので、いずれ購入してみたいと思っています。こうしたオプションが豊富なのはIkeliteのメリットの一つですね。ちなみにこちらの外付けファインダー、どう見てもINONのOEMなのですが、INONのものを改造して装着できないんですかね?そちらのほうが安いですし今度INONに問い合わせてみようかな・・・

 

レンズポート

レンズポートはマクロ用の5516.50 Flat Portと12-45mm F4.0用 PROの5516.16Dome Portを購入。Ikeliteのレンズポートの品名は数字で表記されており、絶妙にわかりにくいです。どちらも鏡筒部分はプラスチック製、レンズ面はアクリル製でかなり軽量です。マクロ用の5516.50はレンズ面に67mmのネジが切ってあり、クローズアップレンズなどを装着可能です。また12-45mmズーム用の5516.16はポートの鏡筒部分にズーム操作用のダイヤルが備わっています。ほかのメーカーではレンズポートはガラス製ものが主流ですが、Ikeliteではアクリル製のポートしか取り扱いがありません。どちらが優れているというわけではないですが、それぞれ下記のような特徴があります。

 

ガラス製
・傷がつきにくいが、万が一傷がついたときに磨くことができない
・衝撃に弱く割れやすい
・レンズ面がコーティングされていることが多く、逆光時にゴーストが発生しにくい
・重い
・比較的高価

 

アクリル製
・傷がつきやすいが、磨いてある程度目立たなくすることができる
・衝撃に強く割れにくい
・レンズ面にコーティングがなく、逆光に弱い
・軽量
・比較的安価

 

E-M1mark2ではガラスのポートを使っており、レンズ面に傷がつきやすい岩場での撮影などハードな使い方も多いため、アクリルのポートに対してはちょっと抵抗もあったのですが、今のところそんなに傷もつかずに意外と普通に使えるという印象をもっています。まぁ(ガラス製に比べて)安価なので最悪消耗品と割り切って買い替えることもできますし・・・アクリルの利点として磨いて傷を消すことができるというのはあるので、がっつり傷が入ったらポリッシャーで磨いてみようかと思います。純正でも一応用意されていますが、普通にホムセンで売ってるやつでいいよね…?

レンズポートのハウジング本体への装着方法は3本のネジで留めるだけというシンプルな方式。バヨネット式のポートに慣れていた身としてはこれで大丈夫なのか…?と心配になりましたが、水没などはなく普通に使えています。一応ハウジング側のネジで留める箇所に溝が彫ってあって、物理的にズレたりしないようになっています。このネジが結構小さくて、無くしたりしたら大変なので注意が必要です。

 

ズームギア

ズームギアは12-45mm F4.0 PRO用のものを購入。これ3Dプリンターで作ったんじゃね?と思ってしまうほどの安っぽさですが、これ$40≒5000円もするんですよね… 内側には申し訳程度のウレタン片がついていてこれをレンズのズームリング部分に噛ますのですが、ギア本体との接着が適当で、何度も脱着を繰り返しているとポロっと取れるためテープで適当に固定しています。このあたりMade in USAの雑さなんですかね…(偏見)今のところ何とかなっていますが、どうしようもなくなったら自分でウレタンフォームを買って工作してみようかと思います。ちなみにギア自体のハウジングとの嚙み合わせは良好です。なお、Ikeliteではフォーカスギアが準備されていません。なので、マクロレンズを含めたすべてのレンズでピント合わせはAFのみとなります。最近はボディもレンズも優秀なので結局AFでピントを合わせるほうが早いことが多いので、MFが使えなくても困ることはあまりないでしょう。たぶん・・・

 

ストロボ用シンクロコード

ストロボとハウジングの接続は光接続と電気接続の2つの方式がありますが、基本的にIkeliteのハウジングは同社のストロボを電気接続して使うことを前提として作られています。光接続と電気接続、これもどちらが優れているというわけではなく、それぞれ下記のような特徴があります。

 

光接続
・対応するストロボが多い
・カメラ本体のストロボとシンクロさせる方式の場合、ストロボのチャージタイムがカメラ本体のストロボ依存となる(≒連写ができない)
・上記の方式の場合、カメラのバッテリーの消費が早い
・ハウジングとケーブルの接続部からの水没の恐れはない
光ファイバーケーブルは断線しやすい

 

電気接続
・対応するストロボが少ない
・カメラとストロボは電気信号でやり取りするだけなので、チャージタイムは外部ストロボ依存となる(≒連写ができる)
・カメラ本体のストロボを発光させないので、バッテリーの消費を抑えられる
・ハウジングとケーブルの接続部から水没する恐れがある
・電気接続のケーブルは太さがあるため断線しにくい

 

これまでE-M1mark2では光ケーブルを使って接続していましたが、OM-1では上記の利点を考えて電気接続を試してみることにしました。ちなみに最近、光接続するためのコンバータが発売された模様。D200やYS-01のように電気接続が使えないストロボをお持ちの方はこちらを使ってみるのも良いかもしれません。

また、注意が必要なのはIkeliteのTTLコンバータは他社のストロボに対応していないため、INONやSEA&SEAなどの他社製ストロボをIkeliteのハウジングに接続する場合TTLが使えず、マニュアル発光しかできないことです。筆者は普段からマニュアルでしか撮らないのでまったく問題ありませんが、TTLを多用する方はストロボも買い替える必要があるでしょう。Ikeliteのストロボ、評判は悪くないようですが、如何せんちょっとデカいみたいですね(チャージは爆速らしい)。

 

グリップベース

シンプルな金属製のグリップベース。手にかかる部分は赤いラバーが巻かれており、滑りにくいようになっています。ボールジョイント部分はワンタッチで取り外しができるようになっており、Ikeliteではクイックリリースシステムと呼んでめっちゃメリットがあるかのように説明していますが、ここそんなに外すことある??という感じです。むしろわずかにカタつくので鬱陶しいような…(もちろん実用上の強度は確保されています)ちなみにこのボールジョイントパーツは1個あたり$70と地味に高いです。

 

なんか書いてみると結構文句が多いですが、それとは裏腹に割と気に入っています。とにかく軽量で持ち運びしやすいので、川でハウジングを片手に抱えながら上流を目指すといった今の撮影スタイルには合っているように思います。実際に使ったことがないのでわかりませんが、このあたりNauticamの金属製のハウジングだと重すぎて相当しんどいでしょうね・・・また、実際に使ってみてわかったのですが、縦方向にかなりコンパクトなため、レンズの光軸の位置がE-M1mark2のハウジング比べると低く、底にいる被写体の撮影や低い位置から上方向にあおって撮るのに向いています。臨場感のある写真を撮るための条件のひとつとして「被写体の目線で撮る」というのがあると思っているのですが、低い位置での撮影がやりやすくなったのは素直にありがたいです。

 

長くなってきたので、続きは次回に持ち越し!

次回は実際のカメラのセッティングの方法について書いていきたいと思います。

*1:※DLMシリーズはDLシリーズの廉価版という位置づけの商品らしく、DLMのハウジングが$900前後なのに対し、DLのハウジングは$1700前後とやや高価です。まぁそれでもほかのメーカーに比べたら安いんですが…