Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

オオクチユゴイ

オオクチユゴイ 和歌山県南部河川 -2.0m

紀南地方の河川で撮影したオオクチユゴイです。

本種は本州沿岸では典型的な死滅回遊の淡水魚で、通常、河川に加入した当歳魚はその年の冬のうちに寒さに耐えられれず死んでしまうと考えられていますが、近年の地球温暖化の影響か、筆者の観察した範囲でも紀伊半島の南部で冬越しに成功した個体をちらほら確認しています。ちなみに同属のユゴイもこの川には加入しますが、冬を越え生き残るのはオオクチのほうが多い気がしています。2種の間には低温耐性に差があるのかもしれません。

今年の冬は本当に寒く、特に1月24~25日の寒波では紀南地方でも積雪が観測されるほどでしたが、それでもたくましく生き抜いているようでした。なお、この場所は若干ながら汽水の影響があり、潮の満ち引きにより水底付近には海水由来の暖水が残るため、こうした環境も本種の生き残りに影響している可能性もあります。

 

camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000