Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

2022-01-01から1年間の記事一覧

ひさびさの汽水域

最近は岐阜に行ったり、琵琶湖に行ったりと地元、紀伊半島のフィールドがおろそかになっていましたが、先日は久々に紀南地方の汽水域で撮影でした。撮影地はお気に入りの小さな河川。この川は河口域まで高い透明度が保たれており、水中撮影にはうってつけの…

岐阜のハリヨ

揖斐川水系 -0.5m 6月 先週末は紀伊半島から離れて岐阜で撮影でした。狙いは岐阜県と滋賀県にしか生息しないトゲウオ科魚類のハリヨ。トゲウオの仲間は典型的な冷水魚で、高水温に対する耐性がないため温帯に生息する種では年間を通して水温が低く安定してい…

ウシモツゴ

三重県中部 -0.5m 6月 三重県中部で撮影したウシモツゴです。本種は岐阜県、愛知県および三重県のみに分布する東海地方の固有のモツゴの仲間で、かつてこれら3県の平野部一体で広くみられたようですが、近年では河川改修等に伴う生息環境の悪化、外来魚によ…

2022イサザの接岸

琵琶湖 -5.0m 6月 今年もぎりぎりのタイミングでしたが、なんとかイサザの撮影に間に合いました*1。本種は琵琶湖固有種のウキゴリの仲間で、通常は琵琶湖の沖合の中深層に暮らしていますが、繁殖期の春に産卵のため接岸します。 接岸初期はごく浅い水深の場…

ビワヨシノボリの婚姻色

琵琶湖 -2.0m 5月 琵琶湖の名産品のひとつにごりの佃煮というものがあります。“ごり”と総称されるハゼ科の稚魚を甘辛く煮詰めたもので、ヌマチチブやイサザの稚魚も含まれますが、その中でも数が多く、主要な構成員と考えられているのがこのビワヨシノボリで…

琵琶湖のゼゼラ

琵琶湖 -5.0m 6月 今週末も琵琶湖で撮影でした。 写真は北湖で撮影したゼゼラ。琵琶湖内で撮影するのは初めてで、水深5mほどの泥底で多数の個体を確認しました。ナマズ類を探すため夜明けごろに潜っていたのですが、その時にはまだ寝ていたようで、魚眼レン…

イワトコナマズ

イワトコナマズ 琵琶湖 -5.0m この週末は琵琶湖で撮影でした。実は先月もウグイの撮影狙いで行っていたのですが、その時は機材トラブルで1枚も撮影できなかったので、実質的に今シーズン初琵琶湖。狙いは琵琶湖固有種のナマズ2種、ビワコオオナマズとイワト…

イチモンジタナゴ

イチモンジタナゴ 江津湖 -1.0m 自然分布域では絶滅寸前なのに、移入先でなぜか繁栄してしまっている。そんな魚が日本淡水魚では何種かしられていますが、その代表例が本種ではないでしょうか? 本種は濃尾平野以西の中部地方から近畿地方の狭い範囲に分布す…

コクチバス調査

コクチバス 紀の川 -1.0m 先週末は紀の川でコクチバスの調査でした。ちょうど今ごろが本種の産卵期にあたるため、産卵床と稚魚の成育の状況の確認です。 本種は近年、紀の川水系で急速に個体数を増やしていると考えられており生態系への影響が懸念されていま…

オオヨドシマドジョウ

オオヨドシマドジョウ(オス)-1.0m 大淀川水系 宮崎県大淀川水系で撮影したオオヨドシマドジョウです。本種はその名のとおり大淀川水系の固有種で2015年に新種として記載されました。本種の学名Cobitis sakahokoの種小名は大淀川の水源のひとつである霧島連…

キリクチ再び

このところ九州ネタばかりで”Fishes of Kii Peninsula”というタイトルから遠ざかっている当ブログですが、ちゃんと(?)地元のフィールドにも通っています。 先週訪れたのは紀伊半島奥地のキリクチ(ヤマトイワナ紀伊半島集団)の生息地、前回撮影したのが…

カゼトゲタナゴ

カゼトゲタナゴ 九州北部河川 -0.5m 九州シリーズ、続きます。今回の九州遠征でもっとも撮影に時間をかけたのはこのカゼトゲタナゴだったかもしれません。本種はバラタナゴ属に属する小型のタナゴ類で、九州北部にのみ自然分布します。際立った派手さこそあ…

アリアケギバチ

アリアケギバチ -1.0m 大淀川水系 宮崎県大淀川水系で撮影したアリアケギバチです。本種はギバチ属4種のうち九州に分布する固有種で、黄色みの強い体色と深く切れ込まない尾鰭が特徴です。本種はかつて九州各地でごく普通にみられた魚だったようですが、現在…

コウライオヤニラミ

コウライオヤニラミ 大淀川水系 -1.0m 宮崎県大淀川水系で撮影したコウライオヤニラミです。本種はその名のとおり朝鮮半島原産の2017年に初確認された新顔の外来魚で、現在この大淀川水系のとある支流でかなり繁殖してしまっています。日本のオヤニラミに比…

イシドジョウ

九州北部河川 -0.5m 5月 九州北部の河川で撮影したイシドジョウです。本種は中国地方西部と九州北部の限られた範囲にのみ分布するシマドジョウの仲間で、その名のとおり河川中上流域の浮石が豊富な場所に生息します。眼の直下まで走る特徴的かつ美しい体側縦…

セボシタビラ

セボシタビラ 江津湖 -1.5m 今回の九州遠征の大きな目標のひとつがこのセボシタビラでした。セボシタビラはタビラ5亜種のうち九州北部に分布する亜種で、背鰭が赤、臀鰭と腹鰭が白に縁どられる特徴的な配色をもつ美しいタナゴです。近年生息域が急速に縮小し…

江津湖のオイカワ

オイカワ 江津湖 -1.0m このGWは4年ぶりに九州を訪れていました。狙いはセボシタビラ、カゼトゲタナゴ、アリアケギバチetc…といった九州に固有の淡水魚たち。同行してくださった方々の多大なご協力もあり、見たいものはほぼすべて見られたとてもよい撮影遠征…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.26 コトヒキ

コトヒキ Terapon jarbua 紀伊半島での呼び名:【文献】すみやき、ぐいぐい、しゃみせん(和歌浦)、うぐい、なみなご(白浜:幼) コトヒキ 和歌山県南部河川 -0.3m インド・西太平洋の広域に分布し、日本国内でも主に房総半島以南に広く分布する。沿岸浅所…

クチサケハゼ

クチサケハゼ 三重県南部河川 -2.0m 先日、三重県南部の汽水域で撮影したクチサケハゼです。千葉県以南の河川汽水域の泥地を好むハゼで、撮影地も強く踏み込んだら嵌ってしまうような軟泥でした。なお、生息環境は泥なら何でも良いというわけではなく、たと…

稚アユの群れ

稚アユの群れ 銚子川 -4.0m 三重県銚子川で撮影した遡上してきたばかりの稚アユの群れです。大きさは3~4cmほどで、まだ身体が半透明な個体も混じります。先日、別の川に稚アユ狙いで撮影に行ったところ、ほとんど遡上がないような状況だったので、今年は遡…

SEA&SEA製光ケーブルをINON仕様に改造する

カメラのシャッターに同調して発光することで、被写体を照らしてくれる外部ストロボは本格的な水中撮影のマストアイテム。僕もINON社のD200を愛用しています。外部ストロボを使うためにはハウジングとの間を光ファイバーケーブルで接続して、カメラ本体のス…

古座川水系、アマゴの稚魚

アマゴ稚魚 古座川水系 -0.5m 撮影のネタが少ない冬の時期ですが、そろそろアマゴの稚魚の姿が見られる頃ではないかと思い、和歌山県南部を流れる古座川のとある支流を見てきました。昨年の3月末にも同じ場所を訪れており、およそ1か月早い現地入りです。上…

紀伊半島の淡水魚図鑑No.25 オオヨシノボリ

オオヨシノボリ Rhinogobius fluviatilis 河川中流域から上流域の急流部に生息するヨシノボリの仲間。その名のとおり日本産のヨシノボリの中ではルリヨシノボリやヒラヨシノボリと並び大型に成長する種で、大きな個体では全長10cmを超える。本種に限らずヨシ…

クボハゼ

クボハゼ 三重県南部河川 -1.0m 先週末は三重県南部の汽水域に今年初の水中撮影に行ってきました。といっても水の冷たいこの時期、魚は少なく川の中も閑散としていました。写真は初撮影のクボハゼ。ウキゴリ属ですが、ウキゴリやビリンゴと違いあまりホバリ…