Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

四万十川のアカメ

『日本最後の清流』のキャッチフレーズで知られる高知県四万十川、その四万十川を代表する魚といえばやはりアカメではないでしょうか?アカメは日本固有種のLatesの仲間で、その大きさ、姿かたち、希少性etc・・・と、この魚のもつ魅力はもはや語るまでもなく、私も長らく自然下の姿を見てみたいと思っていた魚です。釣りのポイントとしては同じ高知県の浦戸湾も有名ですが、やはり「聖地」四万十川に棲む個体を見たいということで、和歌山からフェリーと車を乗り継いで片道6時間かけて四万十川まで遠征してきました。
撮影のチャンスは3日間。普段はシュノーケリングでの撮影がほとんどの筆者ですが、今回は大河川の本流、しかも水深の深い河口域とあってタンクを使っての撮影です。初日はアカメの釣果もよく聞かれる汽水域のポイントに潜ったところ、さっそく70cm級の個体を目撃!しかしすれ違い際に逃げ去っていき、残念ながら撮影には至りませんでした。まぁ、幸先よく目撃はしたしこのポイントで粘っていれば、そのうち撮れるだろう…とタカを括って同じポイントで夜と翌日の夜明けも捜索しましたが、なんとそれ以降1匹も見つけられず…さすが幻の魚と形容されることもあるだけに一筋縄ではいかないようです。
それならばと以前から目星をつけていたより下流のポイントに思い切って移動したところ、これが功を奏したのか、数匹の群れで泳いでいる場面に遭遇できました。噂には聞いていましたが本当に警戒心の強い魚で、普通にこちらから近づいていくとまず逃げられてしまいます。そのためアカメの通り道になりそうな場所でじっと待ち構え、興味をもって(?)向こうから近づいてきたわずかなチャンスを狙っていきます。フラッシュはもちろん、わずかなこちらの動き、排気音やエアにも敏感に反応するため、シャッターを切るまで息を止め、神経を集中させて撮影しました。この日は12-45mmズームレンズでの撮影です。ズームレンジを変えることによりワイド的にもマクロ的にも撮れる優秀なレンズで、中型から大型の魚にはオールマイティに使えます。

アカメ 四万十川 -5.0m

 

最終日3日目は同じポイントで魚眼レンズを使ったワイド撮影1本。こちらのことを覚えていて警戒されてしまったのか、前日以上にチャンスが少なかったですが、なんとかサツキハゼの群れと一緒に泳ぐ迫力のあるシーンを撮ることができました。


今回はアカメの撮影初挑戦ということで、空振りに終わってしまうことも覚悟していたのですがなんとか形になってよかったです。紀伊半島にも少ないながらアカメは生息しているようなので、チャンスがあれば挑戦してみたいですね。またはじめて訪れた四万十川も素晴らしい環境で何度も来てみたいと思える魅力にあふれる場所でした。なかなかに遠いので頻繁には来れませんが、今回撮れなかったシーンを狙っていずれ再訪したいと思います。

 

camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO, M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
strobe:D-200, D-2000