Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

カラフトマス

カラフトマス 知床半島の川 -2.0m

知床半島の川で撮影したカラフトマスです。

カラフトマスはほぼすべての個体が、規則正しく生まれてから2年で成熟して川に回帰するという生活史をもっており*1、そのため、偶数年生まれ群と奇数年生まれ群の資源量に差がある場合、隔年で豊漁と不漁を繰り返すことが知られています。ここ最近は偶数年の遡上量が多く、今年、2022年も豊漁年にあたると予想されていたのですが、まさかの2020年比で遡上量が10分の1以下という異常事態に・・・。時期が遅かったというのもありますが(例年9月半ばごろがピーク)、今回の撮影でも一つのポイントで見られる個体数はおおむね10尾以下と少ない印象でした。

それでも、最悪、姿も見られないかもと覚悟していただけに、美しく特徴的な姿をカメラで捉えることができ良かったです。やはりオスの背中の盛り上がった様子は見ごたえ十分ですね。また、知床半島の川というフィールドでの立ち回りの方法もなんとなく分かったので、今後の豊漁年の撮影に向けて、ある意味でいい予行演習になったのではないか思います。昨今の、本種を含めたサケ科魚類の遡上量の減少には地球温暖化が関係しているのではないかという説もあり、となれば、そう簡単にすぐには個体数は回復しないかもしませんが、かつては毎年のように見られたであろう、川全体を魚で埋め尽くすような“big run”が知床の川で再び見られる日を祈ります。

いつの日か、この滝壷を埋め尽くすほどの群れを撮りたい

camera : E-M1 markⅡ
lens :  M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO
strobe:D-200, D-2000

*1:ほかのサケ科魚類、例えばサケでは川に回帰する個体の年齢は3~5歳と幅がある