ここ2ヶ月ほど忙しく記事を更新できていませんでした・・・
変わらずフィールドには出ているのですが、8月後半は長期研修で東京に行っておりました。平日は研修があるのですが、土日は暇だったので、長らく撮影してみたいと思っていた関東の川魚たちの撮影にもってこいのチャンス!ということで川に行くことに*1。
東京近郊も多くの水系が流れていますが、今回は関東を代表する大水系のひとつ、荒川水系に足を運んでみました。荒川は江戸時代に付け替え工事が行われるなど、古くから人の手が多く入った河川で、東京23区を流れる支流の隅田川などは水質は良いとは言えず、川の周辺を含めた環境も都市河川のそれです。しかし上流の埼玉県側に入ると自然度の高いエリアがまだ多く残されています。
都内からレンタカーを1時間と少しかけて運転し、訪れたのはとある支流の中流域。周りに住宅街もあるものの、比較的清らかな流れの場所でした。ここでの狙いはスナゴカマツカ、ヒガシシマドジョウ、ムサシノジュズカケハゼ、クロダハゼなどですが、果たして・・・?
まず目についたのは大量のウシガエルのオタマジャクシでしたが(何気に初撮影)、すぐにカマツカがいることに気がつきました。これがスナゴカマツカなのか・・・?大きな個体ではなく、正直に言って西日本でよく見るカマツカとあまり差がないように見えますが、よくよく見ると口ひげが長く、体側に金色がかったスポットが並ぶというスナゴカマツカの特徴を持っているように見えなくもありません。関東の川には琵琶湖産アユの種苗に混じったと思われるカマツカが移入しており、この個体もひょっとすると交雑かもしれませんが、まずは嬉しい目標達成です。

次に見つけたのはヒガシシマドジョウ!尾鰭基底の淡い黒斑に尾鰭の細かいレース模様と、西日本のオオシマドジョウやニシシマドジョウとは異なる繊細な雰囲気で美しい!本種は東日本の広域に分布しますが、関東の個体群は他の地域のものに比べやや小型だそうです。

見たかったムサシノジュズカケハゼも確認できました。西日本在住の筆者はジュズカケハゼの仲間になじみが無く、かなり憧れの存在でした。今の時期は何の特徴もない地味なハゼという感じですが、春先の婚姻色にはどえらい色になるのでこれはいずれ見に行きたいと思っています。

関東固有の止水性ヨシノボリのクロダハゼ。この場所で撮影した魚の中では一番感動したのは本種かもしれません。関西でよく見るシマヒレヨシノボリにそっくりですが、ややオレンジ味が強いような…?個体数は多くなく、1ペアしか見ませんでした。


この場所ではその他に、オイカワ、カワムツ、ヌマムツ、アブラハヤ、ミナミメダカ、ニゴイ、ギンブナ、ヘラブナ、コイなどを確認。西日本からの移入種も混じりますが、魚種の豊富な良い環境でした。
撮影がひと段落したところで、同じ支流の上流へ移動してみました。下流側がやや泥っぽかったのに対し、こちらは砂礫底となり浮石も多いような環境です。
上流でも個体数が多かったヒガシシマドジョウ。群れるような密度でいる場所もありました。

意外にもムサシノジュズカケハゼが流れの速い場所にいました。全然どこでも棲めるのか・・・

カジカ大卵型も多くの個体が見られました。ところどころ湧水の影響か水の冷たい場所があり、冷水魚である本種の生息に有利に働いてそうです。

下流では見られなかったスナゴカマツカの比較的大きな個体を見ることができました。系統的に近いナガレカマツカに似ている印象です。体側の金色が目立ちます。

気になったのはコクチバスの個体数がかなり多かったことです。荒川は本流に2000年代の初めにはコクチバスが入っているはずですが、現在では水系全体に広まり、かなり上流のこの場所でもしっかり定着・繁殖してしまっているようです。大小さまざまなサイズの個体が見られました。

関東の川で潜るのは初めてでしたが、初見の魚を数多く見ることができ、とても眼福でした。東日本の淡水魚もいいものですね。なお、この場所ではもう1種狙っている魚がいたのですが、その魚の個体数は非常に少なく、同行者の方が一瞬撮影できただけで終わってしまいました。が、しかしまだ明日(日曜日)がある!というわけで記事も2日目、後半に続きます。
↓後半
nature-key-peninsula.hatenadiary.com
camera : OM-1
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000
*1:都内で遊ぶとかいう発想はない