Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

ヒナイシドジョウ

ヒナイシドジョウ 四万十川水系 -1.0m

四万十川上流域で撮影したヒナイシドジョウです。

本種は四国西南部の愛媛県高知県の 9 水系にのみ生息する小型のシマドジョウの仲間です。長らく中国地方と九州北部に分布するイシドジョウと同種として扱われていましたが、2006年にCobitis shikokuenesisとして新種記載されました。

河川中上流域の礫底を好み、礫の間隙に潜むようにして暮らしていることから観察するのが難しいドジョウのひとつです。以前から観察してみたいと思っていたドジョウで、昨年も四万十川水系のあちこちで探したのですが見つからなかったため、1年ぶりの撮影チャレンジとなりました。

今回は同行者の方にも探していただき、複数のポイントを回ったところ何とか数個体を見ることができました。本種は多くの生息地で危機的な保全状況となっており、多産するポイントは限られているようです。以前に九州で撮影したイシドジョウと比べると、体側や頭部に走る縦帯が淡く、より繊細な印象を受けます。その繊細な色彩と独特の細長い体形からヒガシシマドジョウとアジメドジョウを足して2で割ったようなドジョウだなーと思いました。

なお、ヒナイシドジョウには模様のパターンの違いからタイプ1から3の複数のタイプに分かれており、それぞれのタイプは分布域が異なり、遺伝的にもある程度の分化がみられるそうです。今回撮影したのはタイプ1のため、いつかはタイプ2と3も撮影してコンプリートしてみたいですね。

 

camera : OLYMPUS TG-6

自然光+内臓ストロボ