Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

5月某日、深海小物釣り

例によってまたまた本州最南端へ、今年4回目となる深場小物釣りに行ってきました。

釣りの概要については以前の記事に書いたので、今回は出会えた魚を簡単に紹介したいと思います。

サクラダイ Sacura margaritacea

朝一、釣れてくれたのはサクラダイ。日の出直後のいわゆる朝マズメは多くの魚たちの食い気が出る釣りのチャンスタイムですが、実は深場のハナダイたちは逆にあまり針に掛からない時間帯です。そんな中でも本種は早起き(?)なのか、マズメ時でもアグレッシブに針に掛かってきます。

ツルグエ Liopropoma latifasciatum

次に釣れたのは、嬉しいハナスズキ属のツルグエ。それも全身がほぼまっ黄色のタイプです。ツルグエは体側の暗色縦帯が特徴のひとつですが、まれに縦帯が薄い、あるいはまったく無い個体がいます。これは個体の状態によって変化するのか、同じ個体を水槽で飼育していても縦帯が濃くなったり、薄くなったりすることがあるようです。

カエデエソ Synodus mundyi

同行者の方が釣り上げたのはこちらのカエデエソ。真っ赤な色彩と長い鼻孔の皮弁が特徴の深場に生息するアカエソ属です。串本の深場ではたまに釣れる程度で、数は多くありません。

コクチフサカサゴ Scorpaena miostoma

コクチフサカサゴ。フサカサゴとともに紀伊半島南部の深場からはよく得られるフサカサゴ属の仲間ですが、筆者は初釣果となりました。これもまだ釣ったことはないですが、同属のカボチャフカサゴも生息しているようです。

ミハラハナダイ Giganthias immaculatus

水深160mくらいの深場にポイント移動して釣れたのはミハラハナダイ。ハナダイやハタに近縁ですが、独自の小さなグループであるミハラハナダイ科に属します。本家ハナダイの仲間と比べると体が分厚く、ごつくて重量感があってかっこいい!これまでの串本での釣行では釣れたことがなく、うれしい収穫になりました。

ハナオコゼとメダイの幼魚

途中、流れ藻が多く流れてくる潮目があったので、細かい目の網ですくってみるとメダイとハナオコゼの幼魚が採れました。どちらも流れ藻や漂流物によくつくことが知られている魚。メダイは成長に伴い水深100 m以深の深場へ移動しますが、ハナオコゼは生涯漂流生活を送ります。流れ藻からはほかにブリ(モジャコ)、メジナ、カワハギの幼魚などが得られました。

ホシササノハベラ Pseudolabrus sieboldi

ホシササノハベラ。なんてことはない普通種ですが、この個体は水深108mで釣れました。こんな水深にもいるとは・・・ 串本ではもう一種のササノハベラ、アカササノハベラの個体数が圧倒的に多く、ホシは少ないのですが、深場ではホシが多くなるような気がしています。

バラハナダイとイッテンサクラダイ

そのほかいつものバラハナダイ、イッテンサクラダイ、アズマハナダイ、アヤメカサゴなどを追加して終了。ミハラハナダイとコクチフサカサゴという新魚種も釣れ、串本の海の懐深さを改めて感じさせてくれる釣行となりました。