Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

水中撮影機材の紹介

ここまでダラダラと撮影してきた魚のことを書き連ねてきましたが、今回は機材自慢も兼ねて趣向を変えて現在僕が使用している水中撮影の機材について紹介していこうと思います。まぁTwitterでは魚ネタの無い平日はカメラの話しかしてないカメラオタクなので、今更と言えば今更なのですが。今回はメインシステム編ということで、カメラとレンズのお話を。それ以外のストロボやライトの話は次の機会にしようと思います。

カメラ:オリンパス E-M1 markⅡ

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銀枠OMレンズって渋いよね

 マイクロフォーサーズ規格のミラーレス一眼。オリンパスのフラッグシップ機です。発売から3年が経ちますが、まだまだ現役のスペック。詳細なレビューについてはネット上にも素晴らしい記事が多数あるため割愛しますが、防塵防滴、強力な手振れ補正、深度合成などのフィールドカメラとして魅力的な機能が小型軽量のボディに凝縮された良いカメラです。あまり注目されませんが、オリンパス独自のセンサークリーニング機構によりセンサーにゴミが付きにくいのもポイント。僕は野外でしょっちゅうレンズを交換しますが、ゴミに悩まされたことは一度もありません。

水中撮影の設定については特別なことはしておらず、AFをC-AFに設定して親指AFで合わせている程度。また水中用の機能として水中ホワイトバランスがありますが、僕は写真をすべてRAWで記録しており、WBは後からいくらでも調整が効くため使用せず、オートWBで撮っています。

マイクロフォーサーズはセンサーサイズが小さいため、フルサイズやAPS-Cといったより大きなセンサーを載せたカメラと比べて高感度の画質が悪いとか、ボケを活かした表現が苦手とよく言われます。しかし高感度特性に関しては水中撮影ではフラッシュを多用する関係で低感度での撮影が主になるため気になったことはあまりありません。またボケに関してもマクロもワイドも絞って撮影するシーンがほとんどのためこちらもあまり気にならず。まぁフルサイズのカメラとか使ったことが無いので比較しての感想ではないですが…。ちなみに僕はマクロであればF4からF11、ワイドであればF8からF11ぐらいの絞りを使うことが多いです。

高画質を犠牲にして(?)マイクロフォーサーズ機が得た強みはその小型軽量性でしょう。E-M1 markⅡはマイクロフォーサーズとしては比較的大柄で、防水ハウジングも含めるとそれなりに大きいのですが、それでも一眼レフの鈍器のようなハウジングに比べるとはるかに小型軽量のため、狭い陸水域での取り回しも悪くありません。またオリンパスはメーカー純正品のハウジングが比較的安価で購入できるのもポイント(とは言え高いですが。一般的な感覚ではポリカーボネードの箱に10万払うとか狂気でしょう)。60m防水、正直微妙な使用感のピックアップファインダー、拡張性の低さ等、ガチなフォト派ダイバーからは色々と言われるオリンパス純正のハウジングですが、今のところ不自由はしていません。ボディとの噛み合わせが悪いのかダイヤルを回しても反応しなくなる時がたまにありますが…。Nauticam社のハウジングとか評判いいですが、富豪しか買えないような価格設定(¥248000)なので恐らく一生手を出すことはないと思います…

マクロレンズオリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro

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オリンパスの定番中望遠マクロ。ひょろ長くて見た目はなんとも言えない感じですが(専用フードをつけるとまぁまぁ格好いい)、絞り開放からよく解像してくれる良いレンズです。マクロレンズなのでAFは速いほうではなく、特に一度大きく外すと復帰には時間がかかります。AFを速くする機能としてフォーカスリミッターが備わっており、近接(最短から0.4mまで)、全域、遠景(0.4mから無限遠)の3つの設定ができますが、ハウジングにセットすると外から操作ができないため、普段は全域にフォーカスが来るようにセットしています。

普段ワイド撮影をあまりしないこともあり、水中撮影のほとんどをこのレンズで行っています。観察ケース写真や標本写真もこのレンズで撮影しているため、今の僕にはなくてはならないレンズです。焦点距離が35mm換算で120mmと比較的長いため、被写体を切り取るような描写は得意ですが、少し引いて周りの環境も写すような写真は苦手です。また被写体にクローズアップして背景をボカすだけでそれなりに綺麗にまとまった写真を撮ることができますが、裏を返せばそれは画面を構成する要素が単純な分、単調で平凡な写真になりがちということでもあります。そのため単に綺麗に写っている写真から一歩進んで「作品」と呼べるような写真を撮るには意外と難しいレンズかもと最近は感じています(まぁ腕がないと言われたらそれまでですが…)。

オリンパスからはもう一つ30mm F3.5というスペックのマクロレンズも発売されているのでこちらも気になりますね。うまく使い分けることで、また印象の違うマクロ写真が撮れるかもしれません。最後に拙いですが、作例として本レンズで撮影した写真を掲載します。

 

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 魚眼レンズ:パナソニック LUMIX G FISHEYE 8mm / F3.5

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マイクロフォーサーズの黎明期から存在するコンパクトな魚眼レンズです。水中ワイド撮影と言えば魚眼レンズという憧れから購入しましたが、魚眼特有の強烈な歪みと、180°という超広大な画角から使いこなすのが難しいレンズです。メインの被写体にクローズアップして撮影すると遠近感が強調された迫力のある写真が撮れますが、そのためにはレンズ(ポート)の前面に触れるか触れないかぐらいにまで被写体に接近する必要があり、そこまで寄らせてくれる生き物はなかなかいません。作例のオオクチバスは産卵床を保護している親個体だったので、ぎりぎり(ポート前面から10㎝くらい)まで寄ることができました。タコクラゲはまぁ逃げないので…

したがって①大きく寄っても逃げない魚、②一匹一匹は小さくても集まると迫力の出る魚群の写真、③魚を写さない水景 のいずれかに的を絞って撮影しないと、広大な範囲が写る一方で魚が豆粒のように小さく写っているだけの写真になりがちです。したがって漫然と運用するのではなく、撮りたいイメージが固まってから初めて投入できるレンズだと感じています。

レンズポートはアテナ工央のOPD-EP-08を使っていますが、実はこのポートは旧機種のオリンパスE-M5のハウジングに最適化して設計されているので、E-M1 markⅡのハウジングで使用すると四隅が若干ケラレ(レンズフードなどが原因で画像の一部が欠ける事)ます。写真のアスペクト比をデフォルトの4:3ではなく3:2にすれば上下がトリミングされるので気にならなくなりますが。

 

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 実は水中ワイド用としてはもう一つ、M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6という広角レンズも持っているのですが、あまり使用しておらず作例も乏しいため、使い込んでからまた別の機会に紹介しようかなと思います(陸上では大活躍なのですが…)。基本的に小さい生き物が好きなのと、どうしても淡水域だとワイド撮影向きの被写体や撮影シーンが少ないということで、マクロのほうが稼働率が高めになります。魚眼や広角レンズで狙っていきたいと考えている被写体も色々とあるので、来年はもっと水中ワイドも撮っていけたら、と思います。