この週末は大学の後輩であるSHOWくんと、以前からTwitterで仲良くさせてもらっている中野光さんと紀伊半島南部で合同採集調査でした。トップの写真は調査の合間に日置川で撮影したアユ。これまでに見てきたアユの中でもとびきりに鮮やかな美しい個体でした。晩秋にさしかかり、多くの地域でアユの産卵がはじまって身体も黒っぽい婚姻色を帯びる、いわゆる“錆びアユ”が多くなってくる季節ですが、ここ紀伊半島ではまだ水温も高いせいかアユの成熟が始まるのが遅く、写真のように黄色い追星の美しい縄張りアユも目立ちます。
実はこうした縄張りアユの美しい色彩を水中で見たままに写すのは非常に難しく、これまでに幾度となく失敗してきた被写体でした。水中撮影では通常ストロボを使いますが、ストロボを強く焚きすぎるとアユの色が白く飛んでしまい、かといってストロボを使わなかったり、弱く発光させるとブレたり、水面が作り出す光の揺らめきがアユに映りこむことでアユの色彩が負けてしまい、これまたうまく写らないのです。上手に撮影するには自然光とストロボの光をうまくミックスさせる必要がありますが、そのベストミックスの割合もその日の天候や時間帯によって大きく変わります。今回はアユの色が飛ばない程度のやや強めのストロボ光を、背面に近い角度からアユに当てることで、思い描いていたイメージに近い写真になりました。もっとも本当はもう少し緑みが強かったのですが。このように色々と試行錯誤しながら目の前の光景を自分の頭の中のイメージに近づけていく作業は難しいですが、面白い、自然写真の醍醐味のひとつです。
camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
strobe:D-200, D-2000