Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

湖底からの使者、イサザ

イサザ 琵琶湖 -5.0m

今年もイサザが琵琶湖深部から接岸してきています。

本種は琵琶湖固有種のウキゴリの仲間で、普段は琵琶湖沖合の深層を回遊しているとされていますが、春に産卵のため足がつくような浅場にも出現するようになります。

ここ3年ほど毎年撮影はできているのですが、今年は卵を保護しているシーンの撮影にもチャレンジしてみたいですね。

 

camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000

ホンモロコの産卵

ホンモロコの群れ 琵琶湖 -0.5m

琵琶湖で撮影したホンモロコの産卵です。

本種は琵琶湖固有のモロコの仲間で、普段は琵琶湖の中で回遊生活を送っていますが、毎年春になると琵琶湖沿岸や内湖、流入河川などに遡上して産卵します。長らくその様子を観察してみたいと思っていたのですが、今回、琵琶湖のとある場所にてついに出会うことができました。

産卵場所は岸際の抽水植物、特に水没したヤナギの根に産卵することが知られていますが、この場所では積まれた石の上や隙間を産卵基質として利用しているようでした。

本種は水産重要種で食べておいしいことでも知られ、漁獲量は昭和から平成初期までは毎年2、300トンほどありました。しかし産卵場の環境悪化や捕食者であるオオクチバスの増加に加え、可動堰による水位調整が始まったことで、卵が干上がってしまうことが増えたなどの理由により平成7年ほどを境に資源量が激減し、本種に関する文化も消滅の危機にありました。しかし、上記の原因に対する改善の取り組みが功を奏し、喜ばしいことに近年は資源量が回復傾向にあります。とはいえかつての水準からしてみれば微々たるもの。今後も琵琶湖の環境がさらに良くなっていって本来あったはずの大産卵群がみられるようになることを願います。

石の上にたくさんの卵が付着している

camera : E-M1 markⅡ
lens :  M.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PRO, M. ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
strobe:D-200, D-2000

ハリヨの求愛行動

ハリヨの雌雄 揖斐川水系 -0.5m

この週末は東紀州の川に行こうかと思っていたのですが、週の中頃から継続した雨でどこの川も増水していたため、急遽、雨による濁りが出にくいであろう湧水地のハリヨの撮影に行くことにしました。ちょうど今の時期あたりから繁殖期がはじまるためオスの美しい婚姻色や繁殖行動を撮影できれば、という算段です。

昨年も撮影したポイントに着いてみると、予想に反してささ濁り。とはいえ撮影できないほどのコンディションではありません。しばらくハリヨの姿を求めて探していると1匹のオスがしきりに水底をつついたり、胸鰭で水流を送っているのを発見。どうやらこの辺りに巣があるようです。

しばらく観察していると、抱卵したメスが何匹かこのオスに近寄って求愛行動をし始めました。オスも頭を下に向けて一瞬受け入れるような仕草をしましたが、それもつかの間、すぐにメスを追い払ったり、巣の世話を再開したりとつれない様子でした。オスに婚姻色が発現する魚の場合、求愛行動はオスからメスに行われる場合がほとんどですが、逆のパターンもあるのですね。それにしてもこのオスのモテっぷりはすごく、次から次へ違うメスが求愛してきていました。ハリヨの社会は女性余りなのでしょうか・・・?笑

 

camera : E-M1 markⅡ, TG-6
lens :  M. ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO, M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000

 

ノボリハゼ

ノボリハゼ 三重県南部河川 -2.0m

三重県南部の汽水域で撮影したノボリハゼです。以前近縁種のクチサケハゼを撮影したのと同じ場所で、いつもはクチサケが優先しているのですが、今回はなぜかノボリハゼばかり見かけました。両種が同一水系に分布する場合、クチサケハゼが上流の淡水の影響を受ける側へ、ノボリハゼが下流の海水の影響を受ける側へそれぞれ棲み分けるとされていますが、少なくともこの場所では完全に同じ場所に出現し、棲み分けはあいまいなようです。

クチサケハゼとはよく似ていますが、口は大きくなく、上顎の後端は眼の後縁を超えないこと、眼下の横帯はまっすぐで、後方に折れ曲がらないことで区別できます。これまで本種を撮影したことはあったのですが、小さい個体だったり泥を巻き上げてしまって不鮮明な写真になってしまったりと、満足する写りではなかったので、今回それなりの大きさの個体の姿を鮮明に写すことができてよかったです。なお、和名の由来となった“幟(のぼり)”状に伸長する美しい背鰭を写し止めたかったのですが、待てど暮らせど鰭を広げてくれなかったので、その点については次回以降に持ち越しです。

 

camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000