7年9か月もの間続いた黒潮大蛇行がついに終わるのか!?と世間を騒がせています。
紀伊半島沖で大きく蛇行していた黒潮ですが、今年の4月後半に蛇行を形成していた渦が突如として黒潮からちぎれ、これに続く形で黒潮流路自体も紀伊半島に大きく近づいています。今後蛇行が再発達する可能性も捨てきれませんが、もし本当にこのまま大蛇行が終われば久々の直進流路ということになりそうです。
そして、ご存じのとおり黒潮は魚類の輸送や分布様式にも大きな影響を及ぼします。死滅回遊魚と呼ばれる熱帯魚たちは南方から卵や稚魚のうちに黒潮によって日本沿岸に運ばれてきますし、逆に黒潮が障壁となり日本本土と琉球列島で近縁種が分かれて分布する魚もいます(クロダイとミナミクロダイなど)。太平洋に大きく突き出した紀伊半島もご多分に漏れず黒潮の影響を大きく受け、ダイビングショップや漁師さんに話を聞くと、実際に今回の大蛇行の前後で熱帯性魚類が減少、あるいはまったく見られなくなるなどの魚類相の変化があったようです。もっとも、このあたりは論文等になっているわけではなく、肌感覚的な部分もあるのですが。
そして黒潮の影響を受けるのは海の魚たちだけでなく、川の魚も同様です。特に紀伊半島南部の河川からは熱帯性の両側回遊魚の記録が数多くありますが、彼らも黒潮により南方から運ばれた死滅回遊魚と考えられます。したがって久々に黒潮が紀伊半島に近づいている今年はこれまでの7年間では見られなかった魚が現れる可能性も大いに期待できます。ということで死滅回遊魚を見るには少し時期尚早ではあるのですが、黒潮接岸の最前線となっている紀伊半島南部の川の汽水域へ状況を見に行ってきました。

サツキハゼたちが繁殖期を迎え、美しい婚姻色をまとっていました。メスもシックながら美しい色合いです。

越冬したクロホシマンジュウダイの幼魚たち。この川ではほぼ毎年冬を越す個体がみられます。

ゴクラクハゼも繁殖期を迎えています。オス同士で縄張り争いしていました。

黒潮とは全然関係ないですが今年はアユの当たり年のようで、たくさんのアユが群れていました。この川は河川規模がかなり小さいので縄張りを作る個体はほとんどいません。

今回気になったのはユゴイの稚魚が大量に加入していたことです。6月でここまで大群を見るのは初めてでした。ひょっとしたら黒潮接岸の兆候かもしれません(普通に見当違いという可能性もアリ)

降海型っぽい感じのウグイが数匹群れていました。汽水域で体を塩分に慣らしてから海へ向かうのかもしれません。
黒潮流路が変化した直後ということもあってさすがにまだ魚類相に大きな影響というのは確認できませんでしたが、このまま黒潮の接岸傾向が続けば今後夏から秋にかけて面白い魚が加入してくるかもしれません。今年は例年以上に紀伊半島の川から目が離せなくなりそうです。
camera : OM-1
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000