
分類が混沌としているトゲウオ、のさらにトミヨ属ですが、北海道にはエゾトミヨPungitius tymensis、トミヨ属淡水型 Pungitius sinensis、そしてトミヨ属汽水型 Pungitius pungitiusの3種が生息するとされています。このうちトミヨ属汽水型は道東の太平洋側(いわゆる根釧地域)にのみ生息する分布の限られた種で、その名のとおり、潮汐の影響を受ける汽水域の沼や河川河口に主に生息します。
関西在住の筆者にとって、見たことのあるトゲウオといえば、ハリヨだけであり(ミナミトミヨ?知らない子ですね…)、イトヨ属とはまた雰囲気の違うトミヨ属の仲間は是非撮影しておきたいと思っていました。例によって本種の撮影できそうなポイントなど知る由もなかったのですが、北海道に住んでいたことのある友人にポイントを教えていただきました(感謝)
本州では水のきれいな湧水地の魚というイメージの強いトゲウオですが、ここ北海道ではいたるところに生息しており、透明度の低い泥炭湿地の沼などでもふつうにその姿を見ることができます。要は彼らの生息のボトルネックとなっているのは水の清浄さではなく水温であり、水温が低ければ湧水のない濁った場所にも住めるということのようです(北海道では平地のその辺の水路にヤマメやイワナなどのサケ科の魚がいたりするのも同じ理由によるものです)。友人氏に教えてもらった場所もお世辞にも透明度がよいとはいえない泥底の沼でしたが、そこそこ水のきれいな淡水が流入しているポイントがあり、そこで張って撮影してみることにしました。

撮影地では群れをつくっており、カメラを向けると最初は驚いて逃げていってしまいますが、しばらく動かずにじっとしていると目の前まで来るようになります。とはいえハリヨとは比べ物にならないほど警戒心が強く、ちょっとした動きでまた逃げてしまいます。トミヨは警戒心強いのか~などと思っていましたが、後ほど淡水型を撮影した際にはまったく逃げなかったので、環境による差かもしれません・・・(あるいは種の違い…?)
体色は至って地味で、濁った水に溶け込むような淡褐色を帯びた銀白色です。岐阜や滋賀ではハリヨが婚姻色を見せる時期ですが、道東ではもうしばらく先の6~7月ごろに繁殖期を迎えるそうです。本種のオスの婚姻色は体が黒く染まり、腹鰭の棘のみが白色を帯びるという特徴的なものであり、いつかそうした様子も撮影してみたいですね。

camera : OM-1
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 12-45mm F4.0 PRO
strobe:D-200, D-2000