Fishes of Kii Peninsula

紀伊半島のさかな

熊野川水系のアユカケ

新型コロナウイルスの感染拡大は留まることを知らず、全国に緊急事態宣言が発令されるなど、世の中は今までに経験のない大変な事態となっています。少し前までは“三密”を避ければ外出は問題ないといった感じでしたが、今では外出そのものがNGといったそんな雰囲気すら漂っていて、少々息苦しさを覚えます。

さて、私事ですが、この春から仕事の関係で和歌山市から紀伊半島の東側の新宮市に引っ越しました。“陸の孤島”とも揶揄される田舎の街ではありますが、自然は豊かで、魚も新鮮でおいしく、とてもいい場所に来たなと実感しております。

せっかく紀南の住民になったことですし、フィールド満喫!といきたいところですが、やはりそうもいかないのが今のご時世。外出自粛の波はアウトドア業界にも押し寄せていて登山や釣りの関係団体が当面の間の活動自粛を呼びかけていたりしています。僕のやっているフィールド活動なんかも自粛して然るべしなのでしょう。しかしながら、当地ではまだ幸いなことに陽性の患者さんは出ていませんし、そもそも人里離れた場所での撮影や採集が多く、感染を広めてしまうリスクは限りなく低いと思われるのもまた事実。そこで道中のコンビニへの立ち寄り等含め、絶対に他人と接触しないことを条件に川に遊びに行きました。

 

向かったのは熊野川水系の某支流。美しい流れの深い淵と瀬が連続するポイントです。

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早瀬ではたくさんのアユたちが採食中でした。まだ若いからか仲良く群れでコケを食んでいましたが、これからそれぞれの縄張りが形成されるのでしょうかね。

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アユの群れ 熊野川水系 -0.5m

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アユ以外で、今回観察できたのはオイカワ、カワムツ、ウグイ、ニゴイ、シマヨシノボリ、ルリヨシノボリ、チチブ、ウキゴリ属の一種、ボウズハゼ、アユカケ。紀伊半島南部の河川ではよくいるメンバーですね。

特にアユカケの個体数は多く、河川構造物の少ない良好な河川環境が保たれていることが感じられました。なんだか他の川のアユカケよりも茶色みが強いように思えましたが気のせいでしょうか・・・・

今回は親サイズの個体ばかりでしたが、6月ぐらいになったら今年生まれの個体も出てくるようになるかな?

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アユカケ 熊野川水系 -0.5m

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アユカケ 熊野川水系 -2m

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ルリヨシノボリ 熊野川水系 -0.3m

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シマヨシノボリ 熊野川水系 -0.3m

 恥ずかしながら熊野川水系をまともに訪れたのは初めてだったのですが、魚影の濃い良い川でした。地質的なことはよくわからないのですが、花崗岩がごろごろしている環境は近辺の他の川には無いように思います。こうした川ごとの”表情”が違うのも興味深いですね。まぁ魚の種類はあまり変わり映えしないのですが・・・

 

撮影機材
camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6, M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200