ゴマフエダイ Lutjanus argentimaculatus
インド-西太平洋の亜熱帯から熱帯域に分布するフエダイの仲間。幼魚を中心に河川にしばしば侵入し、純淡水域まで遡上することがある。日本における分布の中心は南西諸島を中心とした南日本であるが、幼魚は黒潮に乗って岩手県以南の太平洋沿岸域でもみられる。紀伊半島では中部から南部の河川で普通。
本種は成長すると全長70 cmを超える大型魚であるが、紀伊半島でここまで大型に成長する個体は少ないのではないかと思う。まだ水温の低い春の川で冬を越したと思われる個体を見かけたり、当歳魚とは考えられない大きさの個体が生息していたりするので、死滅回遊魚とは言い難いものの、加入したすべての個体が定着できるわけではなく、やはり冬の水温低下により一定数は死滅している気がする(想像)。
本種はオキフエダイやクロホシフエダイといった河川に侵入するほかのフエダイ属魚類よりも縄張り意識が強く、気が荒い。全長3 cmほどの幼魚でも同種間で攻撃し合い、鰭がボロボロになった個体を観察したこともある。上述のとおり本種は純淡水域まで遡上することがあるが、本種の気の強さは汽水域と比較して餌資源の乏しい淡水域へ適応なのかもしれない。
camera : E-M1 markⅡ
lens : M.ZUIKO DIGITAL ED 60mm F2.8 Macro
strobe:D-200, D-2000